【竹内薫インタビュー】ホーキング博士のKYエピソードがヤバすぎる!「重力波は宇宙人からのメッセージ」
――そのときには、別の生命体がいるということが明らかになる可能性もありますか?
竹内:あると思いますよ。ホーキングの理論を査読したロジャー・ペンローズっていう人がいるんですけど、この人の宇宙論は面白くて、宇宙は繰り返している輪廻転生だって言うんですよ。輪廻転生の宇宙だから前の宇宙がある。前の宇宙にも知的生命体はいたはずだから、その知的生命体が何らかのメッセージを今の宇宙の我々に残しているはずだ、って彼は言うんですよ。それはビッグバンの電波の地図、宇宙背景放射に隠されているんじゃないか。なぜなら、そこしか隠す場所はないから。そういう仮説を唱えていて、面白いなあって思うんですけど、まだ実証はされてないですね。
――先ほどタイムトラベルの話が出ましたが、ホーキングはその可能性については消極的で、時間の先後は変えられないという「時間順序保護仮説」を唱えているそうですね。
竹内:彼の美意識からすると、時間のパラドックスというのが許せないんだと思います。時間のパラドックスが生じないためにはどうすればいいのかって考えると、時間の順序は変えられないよね、っていう話になっていくんでしょうね。あと、ホーキングがタイムマシンに関してそれほど思い入れがないのかな、とも思います。物理学者でもやっぱりタイムマシンを作りたいって思っている人は多いから、タイムマシンの数学を真面目に研究していたりするんですよね。でも、たぶんホーキングはそこにこだわりがないんでしょうね。
――ホーキングというと、世間では孤高の天才のようなイメージがありますが、実際にはすごくユーモアがある人で、皮肉っぽいこともよく言っていたそうですね。
竹内:これも頭のいい人の特徴で、だいたいみんなユーモアの精神がありますよね。たぶん、自分1人だけ頭がいいわけだから、子供をからかうみたいな感覚だったんじゃないでしょうか。周りの人の発想が自分にはすごく幼稚に見える。だから、わざと意地悪なことを言ってみたりして、子供が困るのを見て喜ぶとか、そんな心境に近いんじゃないかなって気もするんですけど。
学者がマスコミに出るときにもそういう感じがあるじゃないですか。マスコミのことを馬鹿にしているというか、自分と知的レベルが違うからちょっとからかっている、みたいな対応が多い。ただ、彼らの行動自体は一般の我々から見ると逆におかしいわけですよね。変人だから一般の人がとるべき行動が理解できないし、空気が読めない。
――ホーキングが空気読めなかったというエピソードは何かあるんでしょうか?
竹内:それこそ、この本にも書きましたが、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世に対面したときにこっそり言われたことを著書の中でばらしていたことですよね。我々なら「ほかの人に言ったらダメだよ」って言われたら絶対言わないじゃないですか。一応、神様を司っている人だし、敬意を払いますよね。それを自分の本の中で平気で暴露しちゃってる。え、それ言うか、みたいな。空気が読めないのか、空気なんか読む必要はないと思っているのか分からないですけど、それは徹底してます。すごいですよね。
――ちなみに、変な話で申し訳ないんですが、TOCANAでは過去に「本物のホーキングは1985年に肺炎になったときに亡くなっていて、それ以降はパペット人形に入れ替わっている」という噂話を記事にしたことがあります。その考え方で行くと、今回亡くなったというのも実はウソで、本物はまだ生きているという可能性もあるのではないでしょうか。
竹内:まあ、そういう話が出てくるほど彼のビジュアルがやっぱり人々の興味を引くんでしょうね。ホーキングは天才すぎて人間の領域を超えていると思うんですよ。だからそういう話が出てくるんじゃないですかね。
面白いシナリオとしては、彼の脳の回路がすべてコンピュータにアップロードされていた。だから、これが現在のホーキングです、っていう人工知能が出てくるというのはありますよね。彼の肉体は消滅したんだけど、彼が死ぬ時点での脳の情報はすべてここにあるから、その後少しずつ情報が入って変わっている現在の状態はこれです、みたいな隠し玉があったら面白いと思います。
(取材・文=ラリー遠田)
【インタビュー第3回へ】(11月21日16時公開予定)
竹内薫
1960年、東京都生まれ。サイエンス作家。1983年に東京大学教養学部教養学科卒業、1985年に東京大学理学部物理学科卒業。1992年、カナダ・マギル大学大学院博士課程修了(専攻:高エネルギー物理学)。Ph.D.(理学博士)。科学書の執筆・翻訳、評論、講演などで幅広く活躍。NHK Eテレ「サイエンスZERO」でナビゲーターを務める(2012年~2018年4月)。湯川薫の名義でミステリー小説も手がける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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