死にたくなったらシールを貼る男のマジで不思議な話【バンアパ原昌和の連載・聖糞飛来通信】
the band apartベーシストで怪談師・原昌和が、自身の異常性をさらす連載コラム「聖糞飛来通信(ひじりぐそひらいつうしん)」!
第二回:死にたがりの男
昔、高円寺のライブハウス「20000V」が火事で東高円寺に移転になって、そこで友達の企画ライブに誘われた時。ライブが終わって物販に居ると、邪馬台国に居そうというか、まさに大和人という様な顔の男が突然話しかけてきた。
「原さんですね?」「そうだよ」と応えると、
「俺、服飾学校に行ってて服を作る技術があるんです。よかったら原さんの服を作らせてくれませんか?」と言われた。
「有難いけど、いきなり服作ってもらうのもなんだから遊んで友達になろうよ」と言い、山奥の俺の実家にそいつを「泊まりに来い」と誘った。
後日、遠路はるばる泊まりにやって来た。
その時そいつは、ニつ折りの携帯を使っていたのだが、その閉じた携帯の表に、100円ショップで買った様な、安っぽいディズニーかなんかのキャラクターの丸いシールを7枚くらい貼っていたのだが、普通そういうの貼るなら少しは配置を考えたり向きを合わせて貼ると思うんだ。だが、そいつはただシートから剥がしたシールをほとんど見ないでそこに貼ったかの様な汚い貼り方だった。
「お前そのシール狂ったみてぇにだせえな」と俺が笑いながら言うと、そいつはこう言った。
「あぁこれですね……。燃えるように真っ赤な赤い夕日ってたまに有りますよね? 俺、それ見るとすごく不安な気持ちになるんですよ。こんな所で俺なにやってんだろう?って思えて、その途端、猛烈に死にたくなるんです。だから、そういう気持ちになった時に、このシールを携帯に貼る事にしてるんです。そして、このシールが10個溜まった時には、死のうと思っているんです」
「え!? じゃあお前これ貼り始めてから7回も死にたくなったって事なの?」
「そうすね。7回死にたくなりました。あと3回です」
「……こえーよ……こえーよ! おめー携帯にクソダサいシールなんか貼ってっから、どうせクソダサファンシーなお洋服かなんか作られちゃうんだろうなって思って震えてたら、お前の死のカウントダウンだったのかよ……」
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