平成最後の「超大麻論」― 宮台真司✕高樹沙耶✕石丸元章「世界が大麻を合法化する本当の理由と思惑」
石丸 オバマ政権は、在任中一貫して、大麻規制を緩和してきました。それはオバマ大統領自身の体験も影響していると思います。彼自身「私も吸っていた、大麻はアルコールほど危険ではない」と言っている。「法律を扱う人たちでさえ、おそらく大麻を吸ったことがあることを考えれば、大麻吸引で若者たちを長期にわたって刑務所に入れておくべきではない」と、法と大麻に関わる踏み込んだことをインタビューに答えてもいる。それと、これは直接関係ないけど、娘で当時18歳のマリアさんがロックフェスで大麻を吸っている動画が米メディアに載って騒ぎになったときも、大統領はクールだった。
宮台 オバマだけではなく、1960年代後半以降に大学生になったアメリカ人なら、学生時代の大麻吸引はごく普通のことですからね(笑)。
石丸 さて、オバマ政権がやってきたこと全否定しているトランプは、大麻に対しては、どういうスタンスを取っているんでしょう。
宮台 三つのポイントがあります。第一は、共和党が自治を謳う立場だから、トランプが共和党支持者に「大麻問題は州の自治に任せろ」と言っていること。
第二は、支持者が多いラストベルトの労働者層に、鎮痛剤オピオイドの中毒で死者が続出しているので、合法大麻に置き換えさせるのが合理的なこと。
第三は、アメリカ版ネトウヨであるオルトライトの中核にいる新反動主義者の議論。グローバル化で中流が分解して貧困化したけど、もはや国民全体を仲間だと思う者はいないから、今後は富の再配分政策は無理。でも放置すれば、貧者たちが立ち上がって反政府的になる。再配分せずに人々を幸せにできる方策はないか。それがテクノロジー。
一つはゲーミフィケーション、つまり拡張現実&仮想現実のテクノロジー。もう一つがカンナビス(大麻)のテクノロジー。ちなみに、マリファナという言い方は酩酊用途に限定されたものなので、医療用を含めるときはカンナビスと呼ぶべきです。
高樹 ヒッピー世代の流れとは、別なところできているんですね。
宮台 統治コストを下げる戦略です。大麻は酩酊用途に限りません。大麻は500種の成分を含みますが、主成分はテトラヒドロカンナビノール=THCと、カンナビジオール=CBD。CBDに酩酊性や中毒性がない事実を世界保健機構が宣言しました。ちなみに大麻に含まれるこうした生理活性成分をカンナビノイドと総称します。
THCには酩酊性がありますが、中毒性は各大学の研究によればニコチン>ヘロイン>コカイン>アルコール>カフェインの順で、最後がTHC。大麻煙草一本分のTHCは反射速度を上げて自動車事故率を下げる事実や、飲酒運転事故率が大麻運転事故率の十倍を超える事実も判っています。
そんな背景で、アメリカの州とヨーロッパの一部でCBDが医療用として解禁されました。最近はTHCがガン細胞のアポトーシス(自滅)起こすことが判り、技術的に制御された量のTHCを含む医療大麻も使われるようになりました。
関連記事
人気連載
“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】
現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...
2024.10.02 20:00心霊平成最後の「超大麻論」― 宮台真司✕高樹沙耶✕石丸元章「世界が大麻を合法化する本当の理由と思惑」のページです。高樹沙耶、益戸育江、大麻、石丸元章、高樹沙耶のいる未来、CBDオイル、宮台真司などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで