「週刊SPA!ヤレる女子大学生ランキング」への批判や抗議こそ差別! ヤラせる女の多様性を尊重せよ(東大教授寄稿)
つまり今回の騒動って、女性蔑視部分に限ってみると、はっきりマイノリティ差別なんですね。好きな男につい迎合しがちな性愛を重荷に感じる「ノーマルな女」たちが、なんと遊びやバイト感覚でセックス楽しめているらしい同性を、エイリアン見る目でディスって自己正当化&規範回復。
対して男は……こちらは単純というか、なにしろ「心底ヤリたいやつら」がノーマルだから、「ヤレる」のひとことで男全員の普遍的欲望が軽く認知されてしまう……。
そう、つくづく男性蔑視度が女性蔑視度を上回ってます、このテの記事は。「男はみんなヤリたがり」という偏見を固定し、世の男性観を歪める原因になっているのですよ。
え? 歪めてない? 男がみんなヤリたがりなのは事実だろって?
何べん言ったらわかってもらえるのかなあ。「多様性」を忘れんでください。挿入に興味ねえわって男、ゴロゴロいますから。膝枕フェチ、着せ替えフェチ、ドM、スカトロジスト……、〈安全な男〉はゲイだけじゃないんですよ!
その点、女は――男に比べて性的少数者のバラエティが乏しい(と思われている)ので、ヤレる女、ヤラセる女は貴重な生態系資源でありうるでしょう。しかし今回の騒動で大学が、「ギャラ飲み参加禁止」のような通達で学生を縛ったりせぬか、懸念されますね……。
アルバイトとして風俗店、コンパニオン派遣業は禁止、と明文化している大学はけっこうありますが(お嬢様大学の方がかえって黙認する傾向あり。健全な方針です!)ギャラ飲み禁止やパパ活禁止となったら行き過ぎでしょう。私生活への過保護・過干渉は、もちろんパワハラに該当します。
1月14日、署名運動グループと『週刊SPA!』編集部が対談の場を持ったそうですね。けんか別れしなかったようで何より。それにしてもNGОや善意の市民殿。今後監視すべきは、週刊誌記事なんかじゃなく、大学など諸制度が若者に差別的人権侵害を働いたりせぬかどうか。そっちですから。よろしく!
(三浦俊彦)
◆三浦俊彦(みうら・としひこ)
1959年生まれ。東京大学総合文化研究科博士課程単位取得退学。現在、東京大学文学部教授。専門は、美学・分析哲学。和洋女子大学名誉教授。著書に『エンドレスエイトの驚愕: ハルヒ@人間原理を考える』(春秋社、2018年)、『改訂版 可能世界の哲学――「存在」と「自己」を考える』(二見文庫、2017年)など。
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2024.10.02 20:00心霊「週刊SPA!ヤレる女子大学生ランキング」への批判や抗議こそ差別! ヤラせる女の多様性を尊重せよ(東大教授寄稿)のページです。ギャラ飲み、超スカトロジスト時評、ヤレる女子大学生ランキング、週刊SPA!などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで