4月7日にGPSが“リセット”されて全世界パニックか!? 航空機墜落の危険も… 米政府や専門家も恐怖「影響は広範に及ぶ」

2019.03.19 12:00 文＝仲田しんじ

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　冬も明け、これから列島は絶好の行楽シーズンに突入するが、4月初週の日曜には、あなたの浮かれた気分を玉砕する恐ろしい事態が待ち受けているかもしれない。というのも、19.6年周期で発生するGPSの“リセット”が4月7日に迫っているのだ。

■セキュリティ専門家「4月6日には旅客機に乗らない」

　今年の3月4～8日にかけて、米カリフォルニア州サンフランシスコのモスコーニ・センターで開催された世界最大のセキュリティカンファレンス「RSA Conference 2019」において、セキュリティの専門家から気になる発言が飛び出して注目を集めることになった。

「私は4月6日に旅客機に乗るつもりはない」

　いったいどういうことなのか？　実は4月6日（日本では7日）にGPSの時刻情報がリセットされるのだ。1980年の運用開始時の技術的な制約で、GPSは1023週までしかカウントできず、1024週目（約19.6年）に突入した時点で“0週目”に戻ってしまうのである。

4月7日にGPSがリセットされて全世界パニックか!? 航空機墜落の危険も… 米政府や専門家も恐怖「影響は広範に及ぶ」の画像1 — 「UFO Sightings Hotspot」の記事より

　前回のリセットは1999年8月22日に発生しており、測量システムや車載カーナビで時刻が正常に表示されなかったり、正確な位置情報が取得できなくなったりとさまざまなトラブルが発生している。しかし社会的に大きな混乱を招くような事態にまでは発展していない。

　その後はさまざまな対策が講じられ、1999年以降に製造された機器やシステムではこのリセットに対処する技術的な措置が施されており、この日にトラブルが発生する確率はきわめて低いということだが、それでも実際にどのようなことが起こるのかは当日になってみなければわからないことも確かだ。しかしながら、スマートフォンのGPSシステムが影響を受けることはまずないという。

　そもそも19年前には存在しなかったスマホがこの問題にあまり関係がないのは当然といえば当然だが、今も現役で活躍している航空機や船舶の中には20年以上前に製造されたものも少なくない。したがってこの専門家は、あらゆる可能性を考慮に入れて「私は4月6日に旅客機に乗るつもりはない」と口にしたと考えられる。

4月7日にGPSがリセットされて全世界パニックか!? 航空機墜落の危険も… 米政府や専門家も恐怖「影響は広範に及ぶ」の画像2 — 「Tom’s Guide」の記事より

■トレンドマイクロ重役「その影響はより広く行き渡る」

　この話題で思い起こされてくるのは、世界規模で懸念されていた「2000年（Y2K）問題」である。2000年を迎えた瞬間に稼働中の多くのコンピュータが誤作動する可能性があると指摘され、セキュリティ関係者はまさに“正月返上”で対策に追われた。

　しかし実際には、「2000年問題」のトラブルはきわめて軽微なものにとどまり、実害を及ぼすことはほとんどなかったのはご存じの通りだ。

　今回の問題もこの2000年問題のように杞憂に終わってくれることを願うばかりだが、アメリカ合衆国国土安全保障省（U.S. Department of Homeland Security）などをはじめ、各機関や関連企業からGPS機器に関する警告が発せられている。4月6日を迎える前に、GPSに関わるシステムを最新の状態にアップデートしておくよう周知徹底を呼びかけているのだ。

4月7日にGPSがリセットされて全世界パニックか!? 航空機墜落の危険も… 米政府や専門家も恐怖「影響は広範に及ぶ」の画像3 — 画像は「Wikipedia」より

　そしてさらに不気味なのは、前出の専門家だけでなく、情報セキュリティ大手のトレンドマイクロ「Infrastructure Strategies」副社長であるビル・マリク氏もまた4月6日は航空機には乗らないと公言している件だ。マリク氏はテクノロジー製品のレビュー情報サイト「Tom’s Guide」の取材に対して次のように話している。

「非常に多くの運用システムがGPSを組み込んでいるため、その影響はより広く行き渡ります。交通監視システムをはじめとするあらゆる公共安全システムには、GPSシステムが組み込まれています。20年前、これらのリンクは初歩的なものでしたが、今でもそれらのシステムは埋め込まれたままです。したがってどのような影響だとしても（20年前よりも）今回はかなり大きなものになるでしょう」（ビル・マリク氏）

　マリク氏の発言はもちろん“万が一”のことを考慮したものであり、大方の想定では何事もなく4月6日が過ぎ去ることが示されている。日本時間で4月7日を過度に心配する必要はないのかもしれないが、GPSが“リセット”されることは気に留めておくべきだろう。

参考：「UFO Sightings Hotspot」、「Inc.」、「Tom’s Guide」、ほか