「大麻にハマる遺伝子」が存在すると判明! 意志の力では克服できず… 中毒治療法の確立に前進か!?

 すべての(日本における)違法薬物の中で、大麻は世界中で最も頻繁に使用されている。そして、他の薬物と同様に、大麻依存は常習的な服用によって発症し、使用者の約10%は、大麻をやめられない薬物渇望に苦しみ、依存者になると言われている。

 すべての薬物乱用は、環境的、そして遺伝的要因の組み合わせの結果と考えられているが、これまでに明確な遺伝的要因は特定されていなかった。

 しかし今回、デンマークの精神医学プロジェクト「iPSYCH」の研究者が、大麻依存に関連する遺伝子を発見した。この研究はこの規模では初めてのもので、大麻乱用の背後にある、特定の生物学的メカニズムを理解するための一歩となるものである。この研究は「Nature Neuroscience」誌(6月17日付)に発表された。

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「Scientific American」の記事より

■“大麻依存遺伝子”は存在するのか?

 今回発見された特定の遺伝子は、ヒトの脳内にあるニコチン受容体であり、この受容体が少ない人々は、大麻依存の危険性が高くなるという。

 この研究を率いるデンマーク・オーフス大学のディモンティス准教授は、まずデンマーク人グループを使い、2000人以上の大麻乱用者の遺伝子と5万人の健康な一般被験者の遺伝子を分析した。またこのプロセスは5500人の大麻使用者と30万人を超える対象者においても繰り返され、同じ結果が得られた。

 上記の研究は、北ヨーロッパ人の遺伝的データだけを調べたものであったが、最近になってディモンティス准教授は、米国の科学者と共同してより多様なデータベースにアクセスした。

 こういった大きなデータベースを使用することで「より多くの遺伝子と、いくつかの特定集団に関連する遺伝子を見つける助けになるであろう」と准教授は語る。

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イメージ画像:「Getty Images」

 同准教授は、「新しく発見されたこの遺伝子は、人を大麻乱用者にするわけではない。しかし、大麻に依存し乱用リスクを高める可能性がある」と述べている。

 そして、依存に関与する遺伝子を特定することで、その背後にある生物学的メカニズム、および薬物乱用の治療法につながることを期待しているという。

 米イェール大学医学部精神医学部のジョエル・ジェランター教授は「この発見は、大麻依存症の本質と、大麻依存症になる可能性がある人々の生物学的理解にとって、本当に興味深いものだ」と話す。しかしこの発見は、他の人種のデータベース上でも確認される必要があるとの考えを示している。

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