99％が空気、世界最軽量の固体「エアロゲル」が不思議で美しすぎて泣ける！ 人工物として比類なき“芸術的”な未来素材が日常に！

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■将来のイノベーションを占う“夢の素材”

　まさに芸術作品のようなエアロゲルなのだが、もちろんその開発意図はさまざまな分野での応用にある。

　エアロゲルの実用性でまず第一に挙げられるのは断熱材としてきわめて優れている点だ。エアロゲルの微細な気泡がエネルギー伝導率を著しく低下させるのだが、この現象は「クヌーセン効果（Knudsen Effect）」と呼ばれ、その桁違いの断熱効果は建築物などへの応用が期待されている。産業界では断熱材としてのエアロゲルの量産化の試みも鋭意進められている。

　断熱効果に優れている点は防音効果（吸音効果）にも直結する。エアロゲルは一般的なポリウレタンフォームよりも10倍から1000倍優れた遮音性を誇っているのだ。

　このほかにも化粧品、塗料、ウェットスーツなどでもエアロゲルが活用されており、エアロゲルはその物理的特性が最も研究された人工材料の1つであるとされている。

　そしてエアロゲルの発明以来、一貫して活用が進んでいるのが航空宇宙産業の分野である。

　NASAの宇宙探査機「スターダスト」は、エアロゲルをいわば“フィルター”として使用し、ヴィルト第2彗星の塵を捕捉することに成功し、また恒星間の宇宙塵も捕捉・収集している。また火星探査においては、温度変化の激しい地表で活動する火星探査車の設計に欠かすことのできない断熱材でもある。

　美しいばかりでなく、さまざまな分野での応用が期待されているエアロゲルは二次元物質グラフェンなどと並んで、今後のイノベーションを占う“夢の素材”として注目が続きそうだ。

参考：「Disclose.tv」、ほか

文＝仲田しんじ

仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター　@nakata66shinji

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