千葉県で60年前にタイムトリップできる場所が存在! 昭和の団地の一室を完全に訪れた気持ちになれる施設「松戸市立博物館」がアツい!

――B級スポット、樹海や禁断の土地、ホームレス取材を得意とするルポライター村田らむが寄稿!

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 今回は『博物館めぐり系』の記事だが、本題に入る前に少しだけ思い出話を語らせてもらいたい。

 僕は名古屋市のとある商店街で生まれたのだが、5歳の頃に住宅地に引っ越した。

 そこはズラッと団地が立ち並ぶ街だった。ただし僕の家は団地ではなく、一軒家だった。小学校時代はクラスの大半が団地に住む生徒だった。一軒家組はクラスに数人しかいないマイノリティだった。どうにも温度差というか、肩身の狭さを感じざるをえなかった。

 団地の敷地内にはグラウンドがあって、野球などをして遊ぶのだが、グランドには大きな看板で『団地以外に住む人は使用禁止』と書かれていた。もちろん利用していておおっぴらに「出て行け」「帰れ」などと言われるわけではないのだが、どうにも居心地が悪い。

「本当はお前がいちゃいけないんだぞ」などと意地悪を言われたこともあった。

 そして団地の友達の家に呼ばれて遊びに行くのもなかなか大変だった。

 団地に育った人にとっては当たり前のことでも、外部の人にとっては分からないことも多い。まず、団地を号数で呼ばれても位置関係が頭に入っていないから、たどり着くのがむずかしい。住人だけに分かるランドマークもあり(給水塔など)、団地街を歩く時はまるで説明書なしでロールプレイングゲームに迷い込んだような気持ちになった。

「別に団地組に、おもねらずに生活していけばいいじゃん」

 と思うかもしれないが、小学生の小さな社会だとそれはむつかしい。一歩間違えばイジメの対象になってしまうのだ。

 たとえ団地の部屋の中に入れさせてもらっても“しくじらないか”が気になってあまり楽しめなかった。

 最後に団地の部屋に行ったのは、小学校のクラスメイトの誕生会だった。男子ばかり5〜6人集まっていた。僕はプレゼントに当時好きだった漫画『マカロニほうれん荘』を持っていった。

「村田がエロい漫画持ってきた!!」

 とひどく囃し立てられた。マカロニほうれん荘は別にエロい漫画ではないのだが、少々アダルトな表現があったのかもしれない。(そんなこと言うなら、手塚治虫の『三つ目がとおる』のがよっぽどエロいけどな)

 とにかくそこから、今で言う『いじられ役』になってしまった。カードゲームでは結託して負けさせられ、ヒソヒソと僕をハブにして会話を進めた。

 もちろん悔しかったが、誕生日に他人のホームでケンカするわけにもいかず、その日は適当に愛想笑いで場をごまかして家に帰った。それからしばらくは学校でもいじられたと思う。腹も立ったが、ただもうどうでも良くなってしまった。たしか3〜4年生の頃の話だったと思う。それ以来団地の中には一度も入らなかった。

 中学以降は、団地の住人以外のクラスメイトも増えた。そしていつの間にかどうでも良い過去の話になったのだけれど、それでも『団地は苦手』という気持ちは残った。現在も集合住宅に住むのも避けている。サブカル系では人気のある団地街の取材も、僕はほとんどやっていない。

 ……と前振りがずいぶん長くなってしまった。実は、『昭和の団地の一室を訪れた気持ちになれる施設』があると聞き、訪れることにしたのだ。

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