政府に潰された伝説の大麻雑誌『BURST HIGH』元編集長が、ヤバすぎた現場を暴露! 異常すぎる”雑誌誕生”秘話とは?

 会長が開口一番、こう言った。

「こんな危ない雑誌、出していいのか?」(会長)

 当然だ。私は自然と破顔した。しかし次の社長中澤慎一(バーストの発行者であり私のオヤブン)の言葉に驚愕し、笑みが凍りついた。

「なに言ってんですか、今の若い奴らはみんなやってますよ!」(オヤブン)

 バカな! そんなわけはない。

 さらにオヤブンは畳みかけた。

「うちの社員旅行は、マリファナやるために海外なんですから!」(オヤブン)

 そうだったのか!

 次いで意見を求める声が、白夜書房の重役であり編集トップの末井昭に振られた。コアマガジンは白夜の姉妹会社であるから、白夜代表としてコアの本社会議に出席するのが慣例だったのである。

 末井さんは白夜の重役あるが、当時『BURST』で連載(社内原稿だからノー・ギャラで)してくれてたし、中澤同様、2トップで『BURST』を、いや、はっきり言えば、私のやることなすことを擁護してくれていた(と勝手に私は甘えていた)上司であった。

 末井さんが具体的にどう言ったか憶えていないが、はっきりと企画に賛同した。

 これで終了。

政府に潰された伝説の大麻雑誌『BURST HIGH』元編集長が、ヤバすぎた現場を暴露! 異常すぎる雑誌誕生秘話とは?の画像3
バースト ハイ BURST HIGH Vol.8


 コア&白夜の営業・経理・編集のトップは、口も態度も物凄いシビアな人ばかりであったが、この2人の発言にアンチを唱えるほどのやからはいなかった。会長さえである。

 企画審議は挙手で終わるのだが、確か全員OK挙手だった記憶がある。

 本社会議が終わり、私の編集部があるコアビルに戻ると、社長中澤に呼び出された。

「曽根、エロ本編集者がやって、1番恥ずかしいことがわかるか?」

 社長でありながら、当時も『ビデオ・ザ・ワールド』というAV雑誌の現役編集長であったオヤブンがたずねた。

「う~ん……性犯罪?」

「そうだ。どんなに遊んでもいいけど、捕まったら……わかってるな?」

 つまり、雑誌を編んで捕まるのはいい。しかし編集長が個人的にブツ所持で捕まったら一生の恥だぞ。ということだ。

「はい。肝に銘じます」

 こうして『BURST HIGH』が事実上官憲につぶされるまでの5、6年、365日、毎夜「ガサ入れ」される悪夢にさいなまれる日々が始まったのであった。
(その1終わり)

<トカナで連載中のBURST執筆陣>
ケロッピー前田(身体改造とサブカル)
石丸元章(ドラッグと文学)
釣崎清隆(ジャーナリズム・死体写真)
福田光睦(アングラ・闇カルチャー全般)

文=曽根賢

元「BURST」編集長、ピスケンこと曽根賢。のちに『TATTOO BURST』『BURST HIGH』などを編集。その後は作家に転身し、2000年に『バースト デイズ』で第22回野間文芸新人賞候補に。近著に短編小説集『The Shelvis 7インチ盤小説3部作』がある。
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