「慢性疲労症候群」の人々が引き寄せられてしまう村の秘密とは!? 湖畔の病院、謎の実験薬、EBウイルス…=米
■美しい村に続々と患者がやって来る
インクライン・ビレッジは、ネバダ州タホ湖の北岸にあり、ポンデローサマツに囲まれた9000人の住民が住む裕福な町だ。
ピーターソン医師は1981年、ここにクリニックを設立したが、1984年の秋から、奇妙なまでに似た症状を訴える患者に出会うことになった。
ピーターソン医師は、この状況に激しいショックを受けた。1985年の秋までに、ピーターソン医師と同僚のチェイニー医師は、同じ症状を説明する200人以上の患者に出会った。多くの患者は、喉の痛み、リンパ腺の腫れ、軽度の発熱、重度の疲労があった。何人かの患者は回復したが、多くはその見込みもなく、医師は理由を説明できなかった。
ピーターソン医師とチェイニー医師は、生理学的異常を特定しようと試み、同年中にEBウイルスと持続的な疲労には、何らかの関係性があるという仮説を立てた。
ピーターソン医師は、米厚生省傘下の疾病管理センターに助けを求め、1985年、2人の疫学者が派遣された。しかし彼らはこの症状は偶然と考え、一種の集団ヒステリーさえ疑った。政府当局が消極的であるにもかかわらず、同様の症状を示す全米の人々が、ピーターソン医師のクリニックに殺到した。
この奇妙な病気の発生から40年近くが過ぎた今、医療関係者のほとんどは「慢性疲労症候群」が、(心因性ではなく)身体的な病気だという可能性が高いと結論づけている。
現在、スタンフォード大学とコロンビア大学で進行中の研究は、この病気の原因を特定し、それを診断するための臨床検査を開発しようとしている。しかし、米国国立衛生研究所は、この病気が身体的であると判断したものの、資金はまだ追いついていないので、進捗は遅いままだ。
ちなみに、前出のマイク・マリアーニ氏だが、アンプリゲンを3回投与したところで製薬会社が供給をストップしたため、治療を中断せざるを得なくなった。彼は現在も「慢性疲労症候群」を患っている。
しかし、明るいニュースもある。2016年、世界で初めてアルゼンチンが、アンプリゲンを薬として認可した。死に至る病ではないとはいえ、この病気は著しく人間の生活の質を低下させるものだ。一刻も早い病気の解明と治療法の確立を期待したい。
参考:「The New Yorker」、「Open Medicine Foundation」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊「慢性疲労症候群」の人々が引き寄せられてしまう村の秘密とは!? 湖畔の病院、謎の実験薬、EBウイルス…=米のページです。村、難病、三橋ココ、慢性疲労症候群、サナトリウム、療養地、アンプリゲンなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで