「慢性疲労症候群」の人々が引き寄せられてしまう村の秘密とは!? 湖畔の病院、謎の実験薬、EBウイルス…=米
全米科学アカデミーによると、米国には80万人とも250万人ともいわれる「慢性疲労症候群」患者がいる。この病気は極度の疲労を特徴とし、重症患者は、長年寝たきりで、移動したり、話すことができなくなる。
■「慢性疲労症候群」とは
病気の原因は明確ではなく、何十年もの間、心身症やうつ病の一種と考えられ、「慢性疲労症候群」は「金持ちインテリ層のインフルエンザ」と呼ばれ、揶揄されてきた。しかし現在では、富裕層だけが発症するわけではなく、あらゆる階層・人種に発症することがわかっている。
現在でも明確な原因がわからないため、研究への資金提供が少なく、米国食品医薬品局(FDA)が認可する薬はない。
2012年12月、マイク・マリアーニは当時26歳で、ニューヨーク州ウエストチェスター郡にある小さな大学で、非常勤の英語教授として働いていた。クリスマス休暇に風邪のような症状になり、疲れを感じ、のどの痛み、咳、わずかな発熱が起きた。そのうち治るだろうと思ったこの症状は結局1年続き、ついにマイクはマンハッタンの内科医を訪れ、診察を受けた。医師の下した診断は、「慢性疲労症候群」であった。
その後マイクは、3年間で十数人の医師に会い、牛の肝臓由来のアミノ酸注射や甲状腺を刺激する薬、昆布茶や甘草などの民間療法、またはアンフェタミンや過酸化水素の注射などの治療を試みた。ありとあらゆるテストステロンクリーム、抗ウイルス薬、血しょう注入など、ありとあらゆる治療を試したという。しかし、医療費がかさむ以外は何の変化も起きず、ついにマイクが頼る専門家は皆無になった。
絶望したマイクだが、2016年にダニエル・ピーターソンという内科医について、耳に一転した。その内科医は、米国ネバダ州インクライン・ビレッジという場所にクリニックを持ち、患者をアンプリゲンと呼ばれる実験薬で治療している。
米国食品医薬品局はアンプリゲンの承認申請を拒否しているが、ピーターソン医師は、再申請の証拠をさらに集めており、クリニックでの投与は可能という(アンプリゲン投与を1年間、受けるには約4000万円かかり保険の対象外だ)。
マイクは2016年夏、仕事を辞めて車に必要品をまとめ、アンプリゲンを求めて車を走らせた。目指す先はネバダ州のインクライン・ビレッジだ。
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