「2万匹のミミズ」と生活する東大教授の赤裸々レポート! 2011年のあの日から”不気味な変化”…人類への警告!?

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キャノワーム内のシマミミズ

 ミミズの好物であっても量が多すぎると腐敗して、ミミズは死滅してしまいます。一匹残らず、溶けて跡形もなくなってしまう。20年で何度絶滅を経験したことか。ひと夏で4回ほどやらかした年もありました。

 腐敗のほかに怖いのは、昆虫の来襲ですね。筆頭はアメリカミズアブ。普通に見かける黒くて大きいアブです。夏にブンブン飛び回って、コンポストの隙間にべっとりと、黄色い大量の卵を産み付けるのです。

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アメリカミズアブの幼虫。画像は「Wikipedia」より

 夏になるとコンポスト内にアブ幼虫が大発生。固い甲羅に覆われ、尖った頭を振り立てて這いまわる巨大なウジ虫たち。見るからに生命力旺盛です。コンポスト全体が、こいつらの蠢くザワザワザワ……な騒音に満ち、ミミズは底辺の片隅に追いやられてしまうのです。

 アブ幼虫どもの生ゴミ分解能力は大したもので、ミミズの何倍もの速度で片づけてゆく。だからこいつらに生ゴミ処理係を任せたいところですが、いかんせんこいつら、涼しくなると姿を消してしまう。一年中コンスタントに仕事してくれるミミズを優遇せねばならぬ次第です。

 アブ幼虫がひしめく状態の堆肥は、いかにも発酵した腐臭を発します。ミミズ堆肥は無臭、あるいは森林浴の香りで、ふっかふかのいかにも綺麗な物質なのに……。いや、アブが作る堆肥そのものがクサイわけではなく、腐敗環境ではアブ幼虫しか繁栄できない、その結果としてやつらには悪臭が付いて回る、ってことなのですが……。

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キャノワーム内のシマミミズ

 アブ、暑さ、生ゴミ酸化……ミミズがめっきり減って弱ってしまう夏は、まさに試練の時。今年のように大絶滅なしで過ごせたら、まことにめでたい年だというわけですよ。

 春と秋のミミズ繁栄期にはコンポスト内は本当に平和で、見ていて心和みます。動物を一カ所に集めると争いはつきものですが、ミミズ同士の争いは見たことがない。それどころか、あちこちでペアが仲良く交尾しています。赤い紐を2本結んだ格好で、10組も20組も、愛の営みを繰り広げているのですよ。

 小さな、クリーム色に輝くレモン型の卵が、ゴミや堆肥の隙間に散らばってるのも見えますよ。誕生まもない、3ミリもない透き通ったミミズもいっぱい。交尾に励む青年・壮年ミミズ、首に太い帯ができている老年ミミズ、多世代が仲良く同居している雌雄同体コミュニティの風景は、われわれに無言で反省を迫ってくるようです。いつまでもジェンダーだのアイデンティティだのにこだわり続ける人間界よ、ミミズに学ぶがよい、と……。

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