「2万匹のミミズ」と生活する東大教授の赤裸々レポート! 2011年のあの日から”不気味な変化”…人類への警告!?

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カオス的な絶滅へ急転直下するエコロジー的宿命

 そんな平和なコンポスト環境だからこそ、かえってネガティブな想念も誘発されます。微妙な温度・湿度・気圧・微生物などの変数が複雑に絡み合い、前触れもなくカオス的な絶滅へ急転直下するエコロジー的宿命。人間界も同じだろう。世界平和が保たれた合間にこそ、高慢な産業活動ゆえの環境破壊が閾値を超え、予期せぬ大破局……?

 と、ありきたりな教訓めいたことを呟いておいた後で――、ちょっと公には語りにくい「あること」をここで言っていいでしょうか。激しく顰蹙を買いそうなことですが、少なくとも我が家に起きた事実として。

「夏になるとコンポスト内にアブ幼虫が大発生」と言いましたが――実は大発生と呼べる事例はすべて、前半12回の夏に集中しているんです。最近9回の夏は、一度も大発生がありません。

 それどころか――境目となる12年目・2011年の夏は、アメリカミズアブ幼虫がコンポスト内に一匹も現われなかったのです! 一匹もですよ! そんな夏は初めてです。不気味でしたね……(※2)

※2 ちょうど2011年秋までのコンポスト経験を、『教授とミミズのエコ生活』(三五館、2012)という本で報告しました。

 翌年以降の夏には、やつら再び姿を現わしはしましたが、もはやミミズの隙間で少数が遠慮がちに蠢いているだけ。かつての厚かましさは見る影もありません。コンポスト全体を埋め尽くすあの盛大な地獄図絵は、2011年以降はピタリと見られなくなりました。

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2011年以降、日本列島の大気と土壌の環境が一変した?

 2011年以降……これ、何を意味するでしょうね? なんとなく察しがつくでしょう。

 あの年を境に、日本列島の大気と土壌の環境が一変した? 我が家のミクロコスモスがリトマス試験紙になっている? 猖獗(しょうけつ)を窮めたウジの群れが沈静化。これを説明できるのは、あれしかないので……。

 いや、もちろん日本人たるもの、あの年に起きたあれについては――「ひどい出来事だった、猛省し教訓としよう。しかし影響は大したことなかった。後遺症も大したことないのだ、大丈夫、大丈夫なのだ」こうやってみんなで納得するのが暗黙のマナーですよね。はい、わきまえてます。この件はこのへんで黙りましょう。

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