【3.11から9年】タワマンに住んではいけない! メディアが書かない“致命的リスク”を学者が指摘… 真の富裕層は住まない!

■タワマンの災害リスク

 昨年は台風19号の大雨により、武蔵小杉のタワマンで停電と断水が発生したが、これによって当地はリクルートの「住みたい街ランキング」で20位まで順位を下げた(以前は9位)。災害時の脆弱性を国民が思い知ったわけだ。

 南海トラフ巨大地震や首都直下地震が発生すると、直接的被害は甚大でないタワマンであっても、さまざまな居住リスクが露呈する。東日本大震災では、仙台市にある1986年築の14階建てマンションで被災した人々の報告がある。それによると、家具が倒れたり窓ガラスが割れて、台所では食器が全壊、住める状態ではなくなったという。タンスは突っ張り棒で固定していたものの、何の意味もなかったとのこと。建物自体の倒壊は免れたが、壁には各所にX型の亀裂が入った。やはりM9クラスの超巨大地震では、高層住宅に大きな被害が出るようだ。

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画像は「Getty Images」より引用

■タワーマンションの乱立は日本だけ

 このように日本のタワマンは問題だらけだが、では海外でも同様なのだろうか。世界の超高層マンション一覧を見ると、米国にはいくつか存在するがヨーロッパでは極めて少なく、アラブ、インド、韓国、香港などの国に集中している。欧米で高層住宅が少ないのは、住みにくさや安全性で嫌われるためのようだ。子供を育てる環境としてもふさわしくなく、高層住宅の建設を法律で禁止している国もあるという。

 英国、フランス、米国などでは、高層マンションに対して何らかの法的規制が設けられ、例えば英国では育児世帯は4階以上に住まないように規制があるが、この背後には「高層階病」の認識が普及していることもあるようだ。

 前述の名古屋大学の福知氏は、超高層ビルが絶対安全であるならばともかく、そうではないので、「もう超高層ビルの建設はやめた方が良い」と言い切っている。

 この記事で列挙してきたタワマンのリスクだが、住宅業界への「忖度」があるのだろうか、日本のメディアはほとんど指摘しない。問題があるとわかっていても、それでもなおタワマンに住みたいという人々は、セレブのステイタスとして見栄を張りたい気持ちがあるのだろうか? だがここ数年、本当の富裕層は地震や水害のリスクがある湾岸のタワマンを避けて、旧お屋敷街などの高級住宅地に住むようになっているという。本当の意味での「富裕層」に見られたければ、そろそろタワマン幻想から目覚めた方が良いということだろう。

参考:「幻冬舎 GOLD ONLINE」、「FNN PRIME」、「AERA」、ほか

文=百瀬直也

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