生きるために作る!「岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」が予言する未来がやばい!
生きるために作る!「岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」が予言する未来がやばい! 体内から湧き出た作品群に圧倒される
特別賞は、本濃研太、村上力、藤原千也、澤井昌平、森貴之の5作家が受賞した。
本濃研太《僕のDNAが知っている》は、段ボールで作られた仮面群が壁一面を埋め尽くし、正面中央にはトーテムポールを思わせる“塔”がそそり立ち、その周囲にいくつかの像が並ぶ。民族学的な神様や動物、特撮チックな怪獣など、様々のモチーフの仮面たちはそれぞれに個性を強く主張してくる。いくつかの仮面は観客が着用可能で、いつの間にか観客は作品世界に取り込まれてしまうのだ。
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村上力《㊤一品洞「美術の力」》もまた、膨大な作品の物量で観客を飲み込むタイプの作品だ。「村上一品洞は(中略)古今東西の美術品を展示するギャラリーです」と解説があり、まずは精巧な人物像が目をひくが、その背後には多数の絵画作品が陳列され、所狭しと並べたれた立体作品もそれぞれに味わいがある。
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藤原千也《太陽のふね》は、ドーンと置かれた巨木が作品だ。覗き込むとその木は向こう側までくり抜かれているのがわかる。中空の巨木を通して差し込む“光”、そこに作家は“太陽”を見出し、巨木に“生命”を吹き込むことに成功した。シンプルだが力強い表現に心動く。
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澤井昌平《風景》は、4枚の絵画作品シリーズだ。「本来、何を描いても自由なはずだから」という作家の言葉にあるように、そこに描かれているものは理性的な解釈や説明から自由になって、作家から湧き上がったものが“生”のままに描かれている。
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森貴之《View Tracing》は、暗幕で仕切れらた空間をブラックライトで照らし、蛍光の糸を使って、コンピューターグラフィックの黎明期にあったポリゴンの世界を“リアル”な立体空間に再現している。技術的にもそのコンセプトが徹底されている。
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その他の作品では、2020年を記念した「1984+36年」と刻まれたコインを積み上げる高島亮三、SFアニメ的な終末観を抽象的に立体化する松藤孝一、フラワーカラーの表情豊かな顔を巨大オブジェ化した佐藤圭一、自らの体内に宿る命(胎児、細胞、食物)を壁や床いっぱいに描く桂典子、お手製のステージでコントライブを行う“お笑い芸人”そんたくズなど、ユーモアのなかにもリアリティに対するアクティブな制作態度がわかる作品が目立っている。
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とにかく、今年のTARO賞の作品群は湧き上がる“生命感”と力強さがポイントだろう。
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1970年の大阪万博にあって、《太陽の塔》だけが残されたように、時代の激変にも揺るがない「真の表現=芸術」を実践していく遺伝子がここTARO賞から生まれ、これからも培われていくことを願ってやまない。
【展示情報】
第23回岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展
2020年2月14日(金) ~ 4月12日(日)
川崎市岡本太郎美術館 開館時間:9:30~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月
公式サイト:http://www.taromuseum.jp/
【入選作家(50音順)】
浅川正樹、井上直、大石早矢香、大小田万侑子、桂典子、小嶋晶、佐藤圭一、笹田晋平、澤井昌平、そんたくズ、高島亮三、根本裕子、野々上聡人、春田美咲、藤田淑子、藤原千也、本濃研太、松藤孝一、丸山喬平、水戸部春菜、村上力、村田勇気、森貴之
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