生きるために作る!「岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」が予言する未来がやばい!
生きるために作る!「岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)展」が予言する未来がやばい! 体内から湧き出た作品群に圧倒される
毎年恒例となったTARO賞こと岡本太郎現代芸術賞展(4月12日まで)のレポートをお届けする。今年で第23回となる本展は、応募総数452点から23作家が選ばれている。
代表作《太陽の塔》で知られる岡本太郎は常に時代に先駆けて新たな挑戦を続けてきた。TARO賞は太郎の「芸術は爆発だ」という精神を継ぎ、自由な視点と斬新な表現を追求するアーティストを発掘かつ応援しようというものである。この芸術賞は、賞歴、学歴、年齢を問わず、美術ジャンルも超えて、応募できるばかりでなく、最大で5メートル立方の空間を展示スペースとして使用できるところが特徴で、その“ベラボー”さこそがTARO賞ならでは醍醐味であると同時に、作家の力量が大いに試されるところとなっている。
今年は2月13日に授賞式が行われ、翌14日から約2ヶ月が展示会期となっている。だが、それは世間が新型コロナウイルス感染拡大の不安を抱えている時期と重なってしまっている。それでも、TARO賞の見所となっている“時代”を映し出すような入選作家のセレクトやそれらの作品群が放つエネルギーは凄まじく、世界的なコロナパニックにも屈することなく、観客にしっかりと語りかけてくる力作がずらりと並んだ。
最優秀となる岡本太郎賞を受賞した野々上聡人の作品《ラブレター》は、その密度と熱量で文句なしに迫ってくる。野々上は自らを「俺は物を作り出す喜びにアディクトした猿です」と語り、今まで作り続けてきた絵画や彫刻、さらにアニメーションなどを全てを組み合わせて巨大な“モニュメント”を作り上げている。彼は、それを「人生へのラブレター」「これは俺の全存在です」という。
とにかく、作品そのものがこちらの感覚にどんどん侵食してくるのだ。中央にそびえ立つ彫刻作品の“塔”は所々が機械仕掛けでユラユラ、カラカラと動いている。周囲の壁面は絵画作品に覆われ、“塔”の背後にまわると、壁面に仕込まれた数台のモニターのなかでアニメーション作品が動いている。作品そのものがグロテスクな生命エネルギーに溢れ、その意味を考えることを拒否するように、作品自体が鑑賞者を睨みつけてくるのだ。この得体の知れない“生命感”こそが今年のTARO賞作品に共通するものであろう。
岡本敏子賞を受賞した根本裕子の作品《野良犬》もまた、生々しい“生命感”を放ち、こちらに襲いかかってくる。陶製の17頭の野良犬は、それぞれ異なるポーズでシミ、皺、たるみまで繊細に表現され、緩やかな群れをなすように配置されている。それらは「古来日本で山の守護神として崇められていた」ニホンオオカミであるという。いまは絶滅してしまった狼たちを野良犬に重ねることで、霊的ともいえる空間を作り出している。
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