日本人死者50万人の試算も出た「都市封鎖」が避けられない絶対的理由とは!?

画像は「Getty Images」より引用

 安倍晋三首相は3月28日の記者会見で、新型コロナウイルスについて「欧米の例から試算すると2週間で感染者が30倍に跳ね上がる。そうすると我々の戦略が一気に崩れる」とした。また、

 4月3日の朝の時点で国内の感染者数は累計で2384人だから、「30倍」なら7万1520人になる。感染はネズミ算に倍増するため、放置すれば以降は万単位で拡大する。アメリカなどの数字から算出した場合、数値上では感染者20万人、死者2万人に達してもまったく不思議ではないのである。実際、世界の感染者数はわずか2日で10万人増加するなど爆発的なペースを記録しており、日本の危機は足元まで迫っている。

 五輪延期を決めるまで、日本政府は経済への悪影響を懸念して緩い態度をとってきたが、現在でも居酒屋やイベントの自粛を求め、マスク2枚を配る程度の対策にとどまっているため、外出禁止の強硬措置がなければ取り返しのつかない事態も想定できる。

 楽観論者からは「暖かくなれば自然と消滅する」とか「多数の人々が感染すれば免疫力が生まれる」などという声もあったが、温暖な東南アジアなどでも感染は爆発しており、免疫力を待たずして死者が増大しているのが現実だ。

 ウイルスの拡大で、万単位の死者を出さないための方法は3つしかない。(1)ワクチン、(2)抗ウイルス剤、(3)徹底隔離だ。ただし免疫を作って無効化する(1)は、かなり時間を要する。発症しない程度に弱毒化させる「生ワクチン」は発症のリスクが残り、免疫が機能しにくい妊婦などには使用できないため「不活化ワクチン」を用いたいが、こちらは免疫の持続期間が短く効果が限定的。持続期間が短いと感染から回復した人が再感染するリスクもある。観戦が爆発的に広がるケースには不向きなのである。いずれにしても臨床試験で有効性と安全性を確認するには数年かかる。2003年のSARS(重症急性呼吸器症候群)のときもワクチン開発できたのは、感染が終息した後だった。

 そうなると即効性があるのが(2)で、健常者にしか意味のないワクチンと違い、罹患者に対しても効果が期待できる。ただ、ウイルスは細菌や寄生虫とは違う非生物であることが研究を難しくする。もし新薬を開発できても、やはり副作用などへの懸念を臨床試験で払しょくしなければならず、試験協力者の確保も大変だ。唯一、イチから作成せず、既存のウイルス薬と類似構造を見つける手法に望みがあるが、これも年単位で時間がかかり、その間に感染者が倍々になっていくと、薬品の製造や流通が追いつかないということもある。

 結局、いま我々がやれるのは(3)で、だからこそ多くの国が様々な施策を行なっている。発生地の中国でも人口1千万人を超える武漢を完全封鎖したおかげで、現在は人々が往来できるまでに回復している。

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