モンサントの新型除草剤「ジカンバ」がラウンドアップ以上に危険とガチ判明! 農場に悪影響と知りつつ推奨、鬼畜内部文書も流出!

■企業側はリスクを知っていた

 訴訟が起こされたことで、この2企業がいかにジカンバのリスクを軽視してきたかが浮き彫りになった。

 2009年には、農業専門家が「新しいジカンバ耐性システムは、破滅的な結果をもたらす可能性がある」とモンサント社に警告していた。しかし、モンサント社とBASFは、その警告を無視した。

 また同年、モンサント社に向けて作成された他のレポートでも、ジカンバとジカンバ耐性の種子販売システムを開始することで、「作物の損失」、「訴訟」、「農薬に関する否定的な報道」がすでに予想されていた。

 たとえば下記の文書によると、モンサント社は2015年の段階で、どの程度の被害が起き、そして起こるであろうクレーム数までもすでに予測していたのだ。

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モンサントが農家からのジカンバ被害によるクレームを予測した2015年の文書 「The Guardian」の記事より

 訴訟では、モンサントとBASFの約180の文書が封印解除され、裁判で公開された。そこには、社会的モラルを無視する社内文化や企業体質が読み取れる。

 2015年4月、モンサント社で技術開発に携わるロバート・モンゴメリー氏は、アーカンソー大学の科学者から、試験用にジカンバ除草剤をわずか数ミリリットル提供することを依頼された。しかしモンゴメリー氏は、その科学者に「試験に十分な量を提供できない」と断っている。

 それを聞いたモンサント社技術開発マネージャー、ジョセフ・サンドブリンク氏は社内メールに「『フィールドテストに十分な製品を生産することは困難です』なんて、ハハハ、まったくの嘘っぱちさ」と相手方を嘲笑するような文言を記している。

 また、モンサント社の社員が自分の会社の非倫理的な行為を理解していた証拠に、自分たちのしていることを「ブードゥー科学(悪用詐欺科学、科学の悪用のため使われる)」と呼び、「この注意書きを付けておけば、刑務所行きは逃れられるな」などと、冗談を言い合っていた社内メールも公開されている。

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「The Guardian」の記事より

 そして先月、アメリカでジカンバに関する最初の判決が下された。

 裁判では、広大な地域にジカンバを広範囲に散布することを奨励する企業の行動は、「生態学的災害」を引き起こしたと認められた。その結果、今はバイエル社に買収されているモンサント社とBASF社が、290億円を原告の農家に支払うという内容である。

 一方、ドイツのBASF社とバイエル社は、「どちらの製品も、正しく使用すれば安全で効果的だ」と責任を否定し、この評決に対して上訴する計画があると述べている。

 この除草剤によって被害を受けた多くに、オーガニック野菜・果物を作る農家がある。それらの農家は、その作物の性質ゆえに、土壌の再構築など“あるべき状態”に戻すことは困難といわれている。またジカンバを使用した遺伝子組み換え大豆は飼料にも使われ、いずれ私たちの口にも入ることになるだろう。日本に住む私たちにとっても、対岸の火事ではない事態となっているのだ。

参考:「The Guardian」、ほか

文=三橋ココ

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