大麻事件で無罪を取ることは可能なのか? 高樹沙耶×弁護士・亀石倫子×石丸元章「大麻と法律」徹底議論

★法律的にどういうアプローチをしていくか。

高樹 國母さんの裁判で主任弁護士を務めた丸井英弘先生は、何十年前からも大麻取締法のおかしさを訴えています。でも、世間に伝わらない。國母さんの裁判の時も、彼自身の態度や人格を非難したり、大麻をめぐる発言が悪意を持って報じられていました。うーん……。それでは今後、どういうアプローチをしていけばいいんでしょうか。

亀石 私は今、仲間の法律家と定期的に勉強会を開いて、話し合っているところです。たとえば、大麻取締法のせいで、産業用大麻の栽培や販売、CBDオイルの輸入や販売にも悪影響を及ぼしていると思うんです。法律で決められていないのに、厚労省の指導や通達で、大麻産業に関わるビジネスの自由も奪われています。そこで何かできないか、というのも考えています。

画像は「Getty Images」より引用

高樹 実際、世界の多くの国では大麻産業が大注目されていますからね。このままでは、どんどん日本は遅れを取ることになります。

石丸元章(以下、石丸) アメリカでは、大麻関連企業のETF(=上場投資信託)があって、コロナ禍が始まって値を上げてました。部屋に人が籠るので反応したのだと思います。普通の証券会社で買えるんですね。

亀石 たとえば「立法不作為違憲確認訴訟」という訴訟形態があるんです。立法しないこと、いまある法律を改正しないことが憲法違反だと主張するんですが、大麻取締法に関しては、これもいまの段階では勝ち目がないでしょうね。改正すべきなのに放置されているという状態が社会のなかで確認されていませんからね。

石丸 日本で初めて、クラウドファンディングで裁判費用の支援を求めるプロジェクトを立ち上げたのは、亀石さんのタトゥー彫り師医師法違反事件でした。

亀石 大麻取締法でも、そんなふうに社会に問題提起したり、支援や共感を集めたりする方向で進めていきたいという気持ちもあります。しかし根本のところで――私たち法律家は、司法の場で大麻取締法をどのように問題にできるのか? 今年いっぱいかけて、法律家の仲間たちと検討していくつもりです。コロナ禍の影響もあって、なかなか思うように進んでいないんですけれどね。

高樹 今はSNSなどの情報ツールを使って世界の現状を知る人も増え、世間の潮目も変わってきていますよ。それに、同じ大麻を使っていても合法で販売できるCBDオイルが流通し始めたおかげで、大麻の真実を感じられる人も増えています。でも、私が主張しても「お前が言うな!」と、いつものように言われてしまう。法律家が発言してくれれば、耳を傾けてくれる人も多いはずです。

 実は大麻法改正に向けてのこれまでの活動は全然一枚岩じゃなかった。嗜好用は~、医療用は~、産業用は~、と互いに意見が合わず足の引っ張り合いをしている場面もあった。だけど、例えば法曹界から声があがれば、ひとつにまとまる可能性も見えてきます。私が表立って協力すると邪魔になるので、私のできる形で協力していきたいと思います。亀石さん、何か面白そうなことあったら呼んでくださいね。

亀石 ありがとうございます。

 まだまだ大麻をめぐる社会の議論は始まったばかりだ。他国のことだがアメリカは、大麻をめぐる社会的な議論が始まってから、法的な自由が獲得するまでに、実に50年間を必要とした。たくさんの逮捕と有罪という犠牲も払った。いやん。それでもわたくしたちは、YEEESSSSSS!! 前を向いて走ろうではないか……Comeing soon!

 

◎亀石倫子(かめいし・みちこ)

1974年6月22日、北海道生まれ。「法律事務所エクラうめだ」代表弁護士。東京女子大文理学部英米文学科卒業後、1997年に札幌で通信会社に就職するも、3年半で退職。結婚して、大阪に転居する。たまたま目にしたパンフレットで弁護士を志し、2008年に司法試験に合格。2009年に大阪弁護士会に登録、刑事事件を数多く手がける。共著に『刑事弁護人』(講談社現代新書)

Twitter: @MichikoKameishi

 

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◎高樹沙耶(たかぎ・さや)
1963年8月21日、静岡県生まれ。元女優、元作詞家、石垣島のキャンピングロッジ 「虹の豆」オーナー。1983年に主演映画『沙耶のいる透視図』で女優デビュー、映画&ドラマシリーズ『相棒』ほか、数多くの作品に出演、人気を呼ぶ。著書に『贅沢な暮らし—衣食住が育む「心のラグジュアリー」』(エクスナレッジ)、『ホーリープラント 聖なる暮らし』(明窓出版)ほか

Twitter: @ikuemiroku

文=石丸元章

◎石丸元章(いしまる・げんしょう)

1965年8月9日、千葉県生まれ。作家、ライター。高校在学中にライターデビュー、人面犬ブームの仕掛け人。著書に『スピード』『アフター・スピード 留置場→拘置所→裁判所』『平壌ハイ』『神風』(すべて、文春文庫)など多数。近作に『聖パウラ』(東京キララ社「ヴァイナル文學選書 第一弾」)

Twitter: @chemical999

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