妊婦の腹を裂き、胎児の“生ぎも”を飲む「ヤマンバ」伝承の怖すぎる結末とは…!? ドラマ「妖怪シェアハウス」を民俗学者が深堀り!

それからしばらく経った聖武天皇の神亀3年(726)の秋8月のこと、紀州の僧・東光坊阿闍梨祐慶が、鬼婆の住処に宿を得ようとした。鬼女が薪を採りに出かけていくとき、「開けてはいけない」と言いおいたが、祐慶が覗いて見ると、人骨が山のように積み重なっていた。
慌ててそこを飛び出した祐慶を、薪を取って帰ってきた鬼女が追いかける。
祐慶が、追いすがる鬼女に向かって、熊野那智大社のお札を「山になれ」と祈りながら撒くと、山となった。しかし、鬼女が山を越えて追ってくるので、今度は「谷になれ」とお札を撒くと、今度は谷ができた。それでも鬼女が谷を渡って追ってくるので、祐慶が「川になれ」とお札を撒くと、大きな川になった。鬼女はひるまず川を越えて追ってきた。
最後の手段に祐慶が如意輪観音に祈ると観音様が天空に現われ、「破魔の真弓」に「金剛の矢」をつがえて鬼女を射ち、退治した。祐慶は阿武隈川のほとりに塚を造って鬼女を葬り、そこは「黒塚」と呼ばれるようになった。
現在、黒塚近くにある観世寺は、祐慶が観音像を祀るために建立した寺とされ、境内には鬼女の墓、住んでいたという岩屋、血で染まった包丁を洗ったという池などが残されている。
手厚く葬られ、成仏を果たした鬼女は、今では地元の“地域おこし”にも貢献しているようである。観光施設「安達ヶ原ふるさと村」のイメージキャラクターは、鬼女をもとにした“バッピーちゃん”なのだ。長い時を超えて恐怖のヤマンバは、地元でも都会でも愛される存在になったのである。
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