酒呑童子と血の酒や人肉の饗応…日本の知られざる鬼伝説とは? ドラマ「妖怪シェアハウス」を民俗学者の畑中章宏が解説

——話題のドラマ「妖怪シェアハウス」を気鋭の民俗学者・畑中章宏が解説!

画像は「テレビ朝日」より引用


 妖怪シェアハウスの一員で、ふだんはオークション会社に勤務する酒井涼こと「酒呑童子」は、京都府北西部丹後山地の「大江山」を根城に、平安京を脅かした鬼の王である。

 室町時代の絵巻物『大江山絵詞』を原型に流行した怪物退治譚で、謡曲や御伽草子、また歌舞伎や人形浄瑠璃、浮世絵の題材として広く知られるようになった。

 一条天皇の時代 (986~1011)、都では姫君たちがさらわれる事態が相次ぎ、陰陽師の安倍晴明に占わせたところ、酒呑童子の仕業(しわざ)だとわかった。

 帝の命を受けた源頼光(みなものとのよりみつ)は坂田公時(さかたのきんとき)、渡辺綱(わたなべのつな)、ト部季武(うらべのすえたけ)、碓井貞光(うすいのさだみつ)の四天王と藤原保昌(ふじわらのやすまさ)を率いて、酒呑童子を退治するため大江山に向かう。

源頼光と四天王(歌川国芳画)。画像は「Wikipedia」より引用


 山伏姿に身をやつした一行を酒呑童子は手厚くもてなし、さらになぜ大江山に至ったか理由を明らかにする。越後(新潟)生まれで、最初は比叡山に住んでいたが伝教大師(最澄)に追われて大江山に移った。しかし今度は弘法大師(空海)に追い払われて、弘法大師が亡くなったあとここに舞い戻ってきた……。

 頼光ら一行は、血の酒や人肉の饗応に応えて童子を安心させると、「神便鬼毒酒」という毒酒を童子と手下の鬼たちに飲ませて酔いつぶれたところを成敗する。しかし酒呑童子はだまし討ちだと怒り狂い、切られたあとも頼光の兜に噛み付き、「鬼に横道(おうどう)なし(鬼は道に外れたことはしない)」と罵ったという。

大江山の酒呑童子と源頼光主従 (歌川芳艶)。画像は「Wikipedia」より引用

 茨城童子ら配下の鬼たちも残らず退治し、さらわれていた姫君たちを連れて都に凱旋する。一方、童子の首は帝が検分したのち、「宇治の宝蔵」に納められた(ちなみにこの「宝蔵」は伝承上の存在で、酒呑童子以外の妖怪の遺骸や首も納められている)。

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