『君の名は。』やジブリ映画が大ヒットした“本当の理由”が判明!! 現代と過去の架け橋となる民俗学(畑中章宏インタビュー)

 新しく関西弁に訳された『遠野物語』をめぐるインタビューの後編。著者の民俗学者・畑中章宏氏に、民俗学の成り立ちから、宮崎駿、新海誠の映画についても語っていただきます。

※ 畑中氏が『遠野物語』を関西弁に訳した真意を明かした前編はコチラ

■ヨーロッパはアニミズムの上にキリスト教がある二重構造

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関西弁で読む遠野物語』(エクスナレッジ)

――『関西弁で読む遠野物語』を拝読しました。読んでいて疑問に思ったのが、海外の民話や神話との類似性です。

畑中章宏氏(以下、畑中)  そもそも日本の民俗学は、その成り立ちの時期に海外の民話研究の影響を受けています。『グリム童話』で知られるグリム兄弟は、1812年にドイツの民話を集めた『子供と家庭のメルヒェン集』を発表しています。ドイツの詩人・作家のハイネも民話収集をしていました。アイルランドの詩人・イェイツも19世紀後半にアイルランドの神話、民俗文学を発掘し、『ケルト妖精物語』などを発表しました。

 柳田国男も海外の民話研究を参考にしていました。ハイネに関しては『流刑の神々・精霊物語』(ハイネ著/小澤俊夫訳、岩波文庫)にも詳しく書いてあります。ちなみにこの翻訳者の小澤さんは、歌手・小沢健二さんの父親ですね。この本の訳者解説は非常に読み応えがあります。

 それを簡単に説明すると、ヨーロッパの歴史は、一神教であるキリスト教に人々の信仰が一元化されました。そのキリスト教がヨーロッパ全体を覆う以前に、自然の精霊などのアニミズム的な世界もあったんです。

 森の神、海の神のようなものがいて、一掃されたわけではなく、一神教の世界の中でも生きています。それを再発見しようという本です。『遠野物語』以前にハイネやイェイツはそういう動きをしていました。

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畑中章宏氏(撮影=松本祐貴)

 彼らのやっていることは、いわば反グローバリズムです。19世紀、政治や社会の動きで、ドイツ人としての民族アイデンティティが失われそうになっていた。そこで、彼らはドイツ人のふるさとを求めていたんですね。

 キリスト教はある種の世界宗教です。生きているうちに死後の世界も決められてしまいます。でも、「私たちドイツ人は民俗学的にこういう死後の世界を持っている」と主張することができます。愛国的、ナショナリズムともつながる動きでした。

ーーなるほど。ヨーロッパ世界にもアニミズム的な思想や信仰があり、その上にキリスト教がのっかっているようなイメージ、つまり二重構造になっている中に民俗学があるんですね。それは日本も同じでしょうか?

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