『君の名は。』やジブリ映画が大ヒットした“本当の理由”が判明!! 現代と過去の架け橋となる民俗学(畑中章宏インタビュー)

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イベントの様子(撮影=松本祐貴)

『千と千尋の神隠し』では、絶対的ではない神様、ある意味人間より愚かとも思える土俗的な神々が登場します。

『君の名は。』では、神社が舞台になり、お祭りの日に隕石が地球に墜ちます。湖の真ん中には、いかにも民間信仰の祠のようなものがあります。

『天気の子』は、中国起源のてるてるぼうず伝説を踏まえて描かれています。てるてるぼうずに象徴される、かつての雨乞い、日乞いを少女に代弁させているんです。民俗的なまじないがテーマになっていると読み解けます。

 たしかに僕たちも日常で「明日は運動会だから、てるてるぼうずにお願いしよう」というのはありますよね。これは前編で話したアマビエへの思いのように、庶民が切迫した気持ちのときに『まじない』に頼る気持ちと同じです。

 宮崎駿には西洋的な作品、『風立ちぬ』のような現代的な作品もある一方、なぜ『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』という明らかに日本の民衆の信仰を扱うのか? 新海誠の作品では、なぜ『まじない』『災害』をモチーフにし、逃れる方法をテーマにするのか? やはり作家としてどこかで流行を考えていると思うんです。

 もちろん彼らの才能に依拠する部分もありますが、こういう“民俗テーマ”をうまく盛り込んだ物語を大衆に伝えると、爆発的に流行るということがわかっているんでしょう。実際に私も、彼らの作品を見ると、心の中の“古い層”が目覚めさせられるような感覚に陥ります。やはり、大ヒットの秘密はこれでしょう。

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畑中章宏氏(撮影=松本祐貴)

ーー非常に面白い着眼点だと思います。トカナ恒例の質問なんですが、畑中さん自身は、UFOや河童、霊を見たなどのオカルト体験をしたことはありますか。

畑中  神秘体験は残念ながらないんですよ。ただ、昔から憧れていた神社。例えば、柳田国男の生家近くの小さな神社に行ったときの話です。

 神社はせいぜい1時間で見終わってしまいますね。帰ろうとすると、風が吹いてきて、森がざわざわとする。まるで神社と自然が「せっかくきたのに、そんなもんで帰るんか〜」と言っているかのように感じたことはあります。

 後ろ髪を引かれる、という表現はこういうところからきたのかもしれませんね。

 あの柳田国男の『遠野物語』を関西弁に翻訳したのはどんな人だろうという興味から始まった取材。関西弁の口語で書かれた『遠野物語』は、まるで水木しげるや諸星大二郎のマンガのように面白く、理解できた。民俗学者・畑中章宏氏が書いたり、話したり、論じたりしているものは、時空を越えて、僕らの身近な文化や風習につながっている。その第一歩として口語訳された柳田国男の名著に触れてみるのはいかがだろうか。

~おわり~

※ 畑中氏が『遠野物語』を関西弁に訳した真意を明かした前編はコチラ


取材協力=下北沢B&B
http://bookandbeer.com/


【刊行情報】

関西弁で読む遠野物語』(エクスナレッジ)
柳田 国男(著)/畑中 章宏(著・翻訳)/スケラッコ(イラスト)

関西出身の小説家・町田康氏が推薦。
「読んでるっていうより聴いてる感じ。ええ感じ。ええ感じの『遠野物語』」。
岩手県遠野市の妖怪などの伝承をまとめた『遠野物語』は1910年に出版された民俗学の嚆矢となった本。その文語体を大阪出身の民俗学者・畑中章宏氏が関西弁に翻訳。スケラッコ氏のかわいらしいイラストも作品の理解に一役をかっています。声に出して読みたくなる新しい『遠野物語』がここにあります。

 

【プロフィール】

畑中章宏(はたなか・あきひろ)
1962年、大阪生まれ。民俗学者・作家。
著書に『災害と妖怪』(亜紀書房)『天災と日本人』(ちくま新書)『21世紀の民俗学』(KADOKAWA)『死者の民主主義』(トランスビュー)など。民俗学をベースに災害や妖怪、民主主義など現代の問題を論じる気鋭の民俗学者。最新刊『関西弁で読む遠野物語』が発売中。
本人ツイッターアカウント @akirevolution

文・写真・取材=松本祐貴

松本祐貴(まつもと・ゆうき)
1977年、大阪府生まれ。フリー編集者&ライター。雑誌記者、出版社勤務を経て、雑誌、ムックなどに寄稿する。テーマは旅、サブカル、趣味系が多い。著書『泥酔夫婦世界一周』(オークラ出版)『DIY葬儀ハンドブック』(駒草出版)。新刊に編集として関わった『これからの時代を生き抜くための生物学入門』(辰巳出版)五箇公一著。
・ ブログ「~世界一周~ 旅の柄」 http://tabinogara.blogspot.jp/

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