ぬらりひょんは実在する!? 秋田県で「ガチ百鬼夜行」の目撃例… ドラマ「妖怪シェアハウス」を民俗学者が深堀り!
——話題のドラマ「妖怪シェアハウス」を気鋭の民俗学者・畑中章宏が解説! ドラマに登場する妖怪アマビエの裏情報を解説! 今回の妖怪はぬらりひょん!
今回の妖怪:ぬらりひょん
ドラマのなかでは、人間の弁護士兼経営コンサルタント沼田飛世(ぬまた・ひよ)として活動する「ぬらりひょん」。どこかとらえどこのない性格にもかかわらず“妖怪の総大将”とも言われていて、ドラマでも個性的な妖怪たちのまとめ役になっている。
そんな不思議な存在だが、江戸時代の妖怪絵巻にもよく登場し、鳥山石燕(とりやま・せきえん)の『画図百鬼夜行』では頭が大きな坊主姿で描かれ、「まだ宵の口の燈影に ぬらりひよんと訪問する怪物の親玉」と記される。
家のものが忙しくている夕方などにどこからともなくやってきて、勝手に家に上がりこみ、お茶を飲んだり、主人のキセルで煙草を吸ったり、まるで自分の家のようにふるまう。
その姿は頭の大きな老人で、口元は笑っているけど、「鯰に目口もないようなもの」と記した資料もあり、のっぺらぼうのような物の怪として理解されていたようだ。
作家の京極夏彦と妖怪研究家の多田克己によると、「ぬらり」は滑らかな様子、「ひょん」は『日葡(ポ)辞書』では、「思いがけない」や「奇妙」という意味なのだそうである。
一見するとお坊さんのようにも見えるが、商人のような恰好をし、旦那風にゆったり歩く。ドラマのぬらりひょんもこのとおりの風情だ。
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