トランプ陰謀論をケロッピー前田が徹底解説! 小児性愛、人身売買、ピザゲート…Qアノン運動が急速拡大の理由も!

 2016年大統領選挙でも、2人の重要人物がトランプ陣営の“汚れ仕事”を背負って、トランプ支持層を拡大していた。

 その一人はロジャー・ストーン。長年トランプの政治顧問を務めた人物で、1988年にドナルド・トランプに「大統領にならないか」と声をかけ、のちの大統領選出馬への布石を敷いたと言われる。彼は、先に挙げた「インフォ・ウォーズ」のアレックス・ジョーンズを味方につけ、トランプ優位な状況を導いたことで知られる。

 もともとは、1972年、ニクソン大統領のウォーターゲート事件において、最年少の容疑者として逮捕されたが、その経歴を逆手にとってロビイストとして悪名を轟かせ、手段を選ばぬ策士として、レーガン政権の成立にも大きく貢献した。彼の縦横無尽な活躍ぶりはドキュメンタリー『困った時のロジャー・ストーン』に詳しい。


 4年前の選挙戦では、ロジャー・ストーンは激戦の真っ只中にトランプの政治顧問を外れたが、その後も適度に距離を取りながらトランプを支えて当選の瞬間を見届けた。ロシアゲートに関しても、その捜査を撹乱するような発言を繰り返し、偽証罪などに問われて禁固3年4ヶ月の実刑判決を受けたが、最終的にはトランプ大統領の恩赦によって実刑を免れている。

 もう一人の重要人物スティーブ・バノンは、4年前の選挙戦でロジャー・ストーンのあとを引き継ぎ、トランプ陣営を支えた。バノンについては以前も書いているが、彼はトランプ政権の最初の7カ月、ホワイトハウスの首席戦略官という最も重要な役職に抜擢されている。

 新型コロナに関しては、香港のウイルス学者・閻麗夢の亡命をサポートし、中国共産党が隠蔽した真実を暴くことに尽力しており、2020年の大統領選の切り札とも言われている。だが、8月20日、バノンはメキシコとの国境に壁建設を訴えるクラウドファンディングで集めたお金を私的に流用した疑いで電撃的に逮捕された。それでも当日のうちに保釈され、その後もバノンは連日のように毎回2時間に及ぶ、「パンデミック・ウォー・ルーム」の配信を続けている。

 ここまで書き進んだところで(9月10日現在)、トランプ大統領が2021年のノーベル平和賞候補となったというニュースが飛び込んできた。その理由は、イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の関係正常化に向けた合意を仲介したからという。

 トランプの侮れないところは、Qアノンなどの陰謀論を擁護して世間を騒がせておきながら、一方で驚くほどの実行力で手堅い実績を積み上げてくるところである。

 トランプ大統領は再選を勝ち取り、真の救世主となるのだろうか? 11月の大統領選まで、彼の動向からは目を離せない。

参考:「BBC」「NBC」「AFP」ほか

文=ケロッピー前田

1965年、東京都生まれ。千葉大学工学部卒、白夜書房(のちにコアマガジン)を経てフリーに。世界のカウンターカルチャーを現場レポート、若者向けカルチャー誌『BURST』(白夜書房/コアマガジン)などで活躍し、海外の身体改造の最前線を日本に紹介してきた。その活動は地上波の人気テレビ番組でも取り上げられ話題となる。著書に『クレイジートリップ』(三才ブックス)、『クレイジーカルチャー紀行』(KADOKAWA)、責任編集『バースト・ジェネレーション』(東京キララ社)など。新刊本『縄文時代にタトゥーはあったのか』(国書刊行会)絶賛発売中!

公式twitter:@keroppymaeda

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