20年前に「神の啓示」で建てられた新大久保のビルに潜入! 赤いテープで目隠し、豪華な女神像…東京媽祖廟が面白い

 壁には小さい媽祖がズラーッとならんで、明かりがついていた。どうやら寄付をすれば名前を入れて並べることができるようだ。ただ、あんまり商売っ気はないらしく、案内などはあまり書いていなかった。

 とても豪華に装飾されている。

 周りには果物やお菓子、蘭などの花も飾られていた。

 窓から外を見ると、対面のビルの屋上も、同じく中国寺仕様になっていた。オレンジと金が眩しく、武将の人形や竜などが飾られている。

 媽祖も拝んだし、帰ろうか? と思ったら、さらに上があった。媽祖廟なのに、さらに上があるんだ……と思いながら登ると、やっぱり室内は同じレイアウトだった。

 ちょっと天国っぽい雰囲気が出ている。


 真ん中にあるのは観音様で、孔雀明王や薬師如来も祀られている。日本人にとっては、媽祖よりも観音様の方が馴染み深いが、媽祖廟を建てた人にとってもそうだったらしい。

 媽祖廟を建てた経緯が書いてあったのだが、20年前に子供を寝かしつけながらうとうとしていると、目の前に巨大な女神が現れたそうだ。最初は観音様かと思ったそうだ。やっぱり女神といえば、観音様が思い浮かぶのは一緒か。ただその女神は『冠』をかぶっていたので、観音様ではないと気づき、

「媽祖様ですか?」

 と尋ねると、

「そうだ」

 と答えられたそうだ。媽祖様は

「あなたは日本で事業を始めて成功するでしょう。そして十分富を蓄えた暁には、道場を建てて衆生を助けなさい」

 と言ったそうだ。

 それから20年経って、廟を建てたそうだ。なかなか強烈なエピソードである。

 一旦外に出ると、小さい中庭があって東屋があった。東屋と言ってもやっぱり赤と金でなかなか派手だ。池には龍の首がズラ〜っと並んで水を吐いている。

 大久保はそもそも異国情緒あふれる街だけど、東京媽祖廟はことさら異世界感があってとても楽しかった。コリアンタウンを観光するついでに足を運んではいかがだろう?

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文=村田らむ

ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)など。

Twitter:@rumrumrumrum

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