閉店前の銀座・軍国酒場「海軍倶楽部 宜候」に潜入! また1つ昭和が消えていった

 本当にこのような店がなくなってしまったのは残念だ。6月29日の最終営業日には、大勢が集まって軍歌を歌った。そこで見られたのは、日本人の一体感だった。この場にはヘルパーをしている女性も2名おり、滝口さんの仕事を助けていた。ヘルパーの人たちは、数人いたそうで、ボランティアで毎日誰かが来るようになっていたという。また、常連客の男性も店内で使うための氷を仕事途中に届けるようになっていた。

 仙台から来ていた59代の男性は、「初めてこの店に来たのは、今から20年前です。その後、長らく来られなかったのですが、最終日を含めて3日連続で来ています。最後の最後ということで、近くにホテルをとりました。本当にこんないい店がなくなってしまうのは残念です。今夜は、よく歌いました!」と話していた。

 50年の歴史に幕を下ろしてしまった『海軍倶楽部 宜候』。ヘルパーをやっている女性の人たちの話によると、店自体の契約は、7月末まで残っていたため、「それまで数日でも長く店を開けたい」と考えていたそうだが、それが叶うことはなかった。こうして、またひとつ「昭和」が消えていった。

 

『海軍倶楽部 宜候』跡地

東京都中央区銀座8‐4‐4  村善ビル地下2階

 

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文=酒井透

写真週刊誌「FOCUS」(新潮社/休刊中)編集部カメラマンを経て、現在、秘境・不思議スポット探検家/写真家として活動中。「FOCUS」時代には、逮捕直後の宮崎勤をスクープする。国内はもとより、これまでに50カ国あまりで取材活動を行っている。著書に『中国B級スポットおもしろ大全』(新潮社)、『未来世紀 軍艦島』(ミリオン出版)などがある。最新刊は、『軍艦島 池島 長崎世界遺産の旅』(筑摩書房/共著)。
Twitter:@toru_sakai

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