「空気からヒトのDNAを採取」画期的な研究成果発表! 棺を開けずに死人のDNA収集も… 犯罪捜査や考古学に劇的変化!
科学者が空気中からヒトのDNAを収集するという画期的な成果を発表した。海外ウェブニュース「VICE」(3月31日付)が報じている。
水や土壌には生物の残したDNAが残されている。これは環境DNA(eDNA)と呼ばれ、対象の生物がたとえその場にいなくても、その地域に生息する生物に関する新しい情報源となる。そのため、この方法では生体を傷つけず非侵襲的に生物種とその生息環境を調べることができる。
今回、英ロンドン大学クイーン・メアリー校(QMUL)のエリザベス・クレア上級講師が率いるチームは、環境中の種を同定するためのDNA源として「空気サンプル」が有効であることを初めて実証したという。同研究は今週水曜日に学術誌「PeerJ」に掲載された。
植物や真菌のeDNAを大気中から採取することは以前から行われていたものの、動物を対象とした類似の研究が学術誌に掲載されていないことに、クレア講師は驚いたそうだ。ただ、1つだけ、日本の高校生2人が、鳥に焦点を当てたeDNAのコンセプトをサイエンスフェアで発表していたのを見つけたという。
そこでクレア講師は、同大の研究者が長年にわたって研究し、世話をしてきたハダカデバネズミの集団「コロニー・オメガ」がいる部屋で実験を行なった。この部屋では、長期間同じ場所でハダカデバネズミが生活していたため、環境中に脱落した細胞が蓄積されており、eDNAの理想的な実験対象だと考えられた。また、ハダカデバネズミは体毛がないため、eDNAの材料となる皮膚の細胞が見つかりやすいと想定された。
研究者らはDNAの採取のため、水生生物のeDNA研究でよく使われている市販の圧力フィルターを使用した。フィルターの部品は、サンプルを無菌状態に保つプラスチック製のチャンバー内に設置されており、装置に取り付けられたポンプがフィルターに空気を吸い込むことで機能する。
その結果、目論見通り、空気中からハダカデバネズミのeDNAを採取することに成功した。さらにそれに加えて、嬉しい誤算もあった。部屋に出入りする研究者や飼育者から出たヒトのeDNAも採取されたのだ。当初、クレア講師はヒトのeDNAが発見されたことについて、実験を台無しにする汚染物質だと考えたそうだが、すぐに大きな発見であることに気づいたそうだ。
そもそもeDNAサンプルは動物がいない環境から受動的に採取されるため、複数の生物の遺伝子の断片が混在することは多々ある。そのため、eDNAは、個体を検出してモニタリングするのではなく、外来種の存在を調べたり、特定の場所に生息する生物種の一覧を作成するなど、個体群や生物多様性に関する大規模な生態学的研究に適している。
ヒトのeDNAが採取できたことは、法医人類学や法医考古学など、人の遺体からデータを収集する分野にとっても興味深い可能性を秘めているという。たとえば、ミイラのeDNAを棺を開けることなく収集できる可能性がある。
また、タイムリーな応用の可能性もある。コロナウイルスなどのeDNAを空気中から採取できれば、感染症の伝播を研究する際に役立つかもしれないとのことだ。今後の研究に期待したい。
参考:「VICE」、ほか
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