【パンデミックと新宇宙時代】人類史上初、自ら出資した宇宙船で宇宙へ! 『エクソシスト』の音楽大ヒットが宇宙旅行に繋がった…ヴァージン会長ブランソンを解説(ケロッピー前田解説)
ここからは、カウンター視点でお送りしたい。
ご存知の通り、宇宙開発競争で競合するジェフ・ベゾスやイーロン・マスクはともに高学歴の超インテリ、最新IT技術を駆使してビリオネアとなり、有り余る知性とエネルギーは宇宙にまで突き抜け、巨額を投じて先端テクノロジーの開発に余念がない。
これに対して、リチャード・ブランソンは高校中退でミニコミ制作販売からレコード屋に転じ、自主レーベルのヴァージン・レコードを立ち上げている。それでも、1973年公開(日本は94年公開)のオカルト映画『エクソシスト』のサウンドトラック(マイク・オールドフィールド)や、パンクブームの火付け役セックス・ピストルズの伝説的なアルバム『勝手にしやがれ!!(Never Mind the Bollocks, Here’s the Sex Pistols)』(1977年)など、歴史的な傑作を大ヒットさせたことからビリオネアへの階段を駆け上がることとなる。84年にヴァージン・アトランティック航空を創業し、92年には航空業存続のためにヴァージン・レコードをEMIに売却して悔し涙を流したと語っている。音楽業界へのこだわりは、のちにヴァージンメガストアの世界展開に繋がっていく。その後もヴァージン・グループは急成長を続け、ヴァージン・モバイル、ヴァージン・ホテル、ヴァージン・マネーなど、関連企業は400社を上回るという。
一方で、ブランソンはスポーツ万能の探検家としても知られ、F1レーシングチームを率いる他、熱気球による大西洋横断、カイトサーフィンによる英仏海峡横断(2012年)では最高齢の達成者としてギネス記録を保持している。
イギリスでの成功者の証として、女王陛下からナイトの称号を授与されているほど、国民にも愛されている存在だ。それにも関わらず、税金対策として居住地をヴァージン諸島のネッカー島に置いており、英国の所得税を支払っていないことに対しては様々な批判もある。
とはいえ、ブランソンは若い頃からロックスターから多くを学び、派手な立ち振る舞いで世間を挑発してきた人気者である。セックスとドラッグにまみれた半生は最初の自伝『Losing My Virginit(私の処女を失って)』(1998年初版、未訳)に詳しい。
たとえば、セックス・ピストルズから脱退したジョン・ライドンをジャマイカに同行させ、レゲエやダブの洗礼を受けさせたという話も有名だ。また、80年代に日本でも人気が爆発したボーイ・ジョージのカルチャー・クラブの大ヒットの背後にもブランソンがいた。
アメリカのコカコーラに対抗して、ヴァージン・コーラを発売した際には、98年のアメリカ進出に向けて、NYの中心地タイムズスクエアにヴァージンのロゴ入りの戦車を登場させ、老舗のコカコーラに露骨に戦争を仕掛け、最終的にはアメリカ市場からの撤退を余儀なくさせられた。
そんなヤンチャなビリオネアが熾烈な民間宇宙開発競争で自らが宇宙飛行士となることで、自分の宇宙船で宇宙飛行の先陣を切ることができたのだから快挙というしかない。
さらにはパンデミックによって、ヴァージン・グループの主軸となってきた航空業も観光業も壊滅的な状況にある。事実、ヴァージン・アトランティックは、2020年8月に破産申請している。そんな逆境的な状況にありながら、世界一のビリオネアであるベゾスに先じて宇宙に到達のしたのだから素晴らしい。
宇宙飛行を達成したあとのブランソンの満面の笑みには、あらゆるものに打ち勝ったという自信とプライドがあふれていたことだろう。
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