「世界一醜い女性」の哀しくも力強い生き様
「世界一醜い女性」の哀しくも力強い生き様!! 崩れゆく顔、愚弄嘲笑、見世物小屋… 想像を絶する辛苦に立ち向かい「全ては子供のため」
性差別解消の機運の高まりや多様性を尊重する社会の流れの中、特定の価値観に基づき女性に順列をつけるミスコンのあり方が問われている現在。しかし歴史を紐解けば、なんと「世界一“醜い”女性を決めるコンテスト」まで行われていた時代もあったという。そして、その称号を進んで求め、しかもそこから生活の糧を稼ぎ出した猛女がいた。メアリー・アン・ビーヴァンだ。
■美しい人妻が奇病を発症
1874年12月、ロンドン東部のプレイストウに生まれ、8人きょうだいの中で貧しいながらも明るく元気よく、のびのび育ったメアリー・アンは、子どもの頃からの夢だった看護師になった。娘時代の写真を見ると、静かに微笑む白衣の天使が写っている。29歳でトーマス・ビーヴァンと結婚、2男2女の子宝にも恵まれた。
幸せな結婚生活だったが、いつの頃からか彼女の体に気がかりな変化が起きはじめる。結婚指輪や靴がきつくなってきたのだ。
指や足のむくみは産後の女性にはよくあることだが、目の上の骨や顎、鼻、さらに手足が異様なほど大きくなり、声は低くしわがれるようになった。こうなったら、家事や育児疲れからくる体調不良では片付けられない。美しい人妻は、恐ろしいスピードで変わり果てていった。

医者も「原因不明」と首をひねる。なにしろ当時の医学では、まったくもって未知の病「先端巨大症(アクロメガリー)」だったのだから。
現代では、毎年100万人に3~6人が発症する奇病であり、下垂体にできた良性の腫瘍により引き起こされることがわかっている。下垂体には、さまざまなホルモンを分泌する役目があるが、腫瘍によってこの働きが妨げられると成長ホルモンが過剰に分泌され、軟組織や骨が肥大してしまうという。
今でこそ、先端巨大症は治療・コントロールできる病気となったが、ビクトリア時代の英国ではなすすべもなかった。ただ、病気と共に生き、耐えるのみ。メアリー・アンを取り巻く状況は徐々に変わっていき、街で心無い言葉を浴びせられることもあったという。それでも愛する家族に囲まれている限り、安心して暮らすことができた。1914年に夫トーマスが脳卒中で急死するまでは!
未亡人として、4人の子どもを抱え自立しなければならなくなったメアリー・アン。職探しに奔走したが、外見でダメ押しされて仕事は見つからず、生活は困窮していくばかり。そんなとき、ある新聞広告が彼女の人生を変えることになった。「地球上で最も醜い女性」チャンピオンシップだ。なんと彼女は、このコンテストで1位となり、思いがけず賞金を手に入れることに。

■子どもたちのために見世物小屋へ
メアリー・アンは「子どものためなら何でもやる」と、自分の姿を商売道具にすることを思いつく。1920年になると、彼女の姿を聞きつけたアメリカのプロモーター、サム・ガンパーツから「コニーアイランドの『ドリームランド(当時、絶大な人気を誇った遊園地)』で、ショーに出てみないか」と出演オファーが舞い込んだ。メアリー・アンは、二つ返事で渡米。そこで、小びと、巨人、ヒゲ女、ヘビ男、シャム双生児らを押しのけ、「世界一醜い女」として見世物小屋のクィーンに君臨したのだった。

20世紀初頭の欧米社会は、今では想像もつかないほど異形に対する差別が横行していた。見世物小屋は娯楽として、一般家庭の“週末のちょっとしたおでかけ先”だったというから絶句する。
それからの2年間で、彼女は2万ポンド(現在の50万ポンドに相当)を稼ぎ出すことに成功。自分の忌まわしい外見のおかげで、子どもたちを路頭に迷わせず、寄宿学校に入れることもできたという。子どもたちに会えないのは寂しかったそうだが、彼らからは頻繁に便りが届き、親として無限の可能性を与えられたことで、たとえ観客から愚弄嘲笑されても屁とも思わなかったという。
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