クイーンの『We Will Rock You』を“本能的に歌う”サルがいると判明! 霊長類にDNAレベルで刻まれたリズムだった!?
聞き慣れない言葉だが、この世には「無限の猿定理」という奇妙キテレツに聞こえるも至極条理にかなった定めがあるという。その内容は、「十分長い時間をかけてランダムな文字列を作り続ければ、いずれどんな文字列も出来上がる」というものだ。
■「曲を作ったり歌ったりする動物は、人間や鳥だけではない」
この「無限の猿定理」を具体的に言うと「無数の猿たちがタイプライターを無制限かつランダムに叩き続ければ、いつの日かウィリアム・シェイクスピアの作品を打ち出す」というもの。理論的にはもちろんあり得る話だが、現実世界では途方もない時間を要することになるだろう。
しかし、たとえばシェイクスピア文学ではなく、猿が言葉にリズムを加えて、いつしかビートルズの作品を作曲してしまう場合ならどうだろうか? または、猿だけにモンキーズとか? なんなら、クイーンでは??
実は、すでに存在するのだ。猿の中でも「インドリ」という種が、「曲を作ったり歌ったりする動物は、人間や鳥だけではない」ことを証明している。
イタリア・トリノ大学の霊長類学者キアラ・デ・グレゴリオ博士が、マダガスカルの熱帯雨林で、絶滅の危機に瀕したインドリ(またの名を「シンギング・キツネザル」)を研究するまで、リズムをマスターすることは人間と一部の鳴鳥にしかできないと考えられていた。
インドリはコミュニケーションや警告発信のために大声で歌を歌う。長いときは3分も続くことがある。それらは今まで単なる雄叫びと見なされていたが、デ・グレゴリオ博士のチームが驚きの発見をしたのだ。
■インドリが『We Will Rock You』を歌う
学術系メディア「Inverse」によると、研究チームは野生のインドリの歌を録音し、音符の間隔を測定したという。「それぞれのオンセットの持続時間と次の音符の持続時間を割ることで、後続の2つの音符間の比率を計算した」ところ、衝撃のデータ結果となった。なんと、インドリは1:2の比率を採用していたのだ!
簡単に解説すると、一般的に曲の多くは音符の長さが同じである1:1の拍子構造だ。対して、クイーンの名曲『We Will Rock You』は、一部の音符が他の音符の2倍の長さである1:2の比率になっている。つまり、ハンドクラップ&フットスタンプの「短短長パターン」。これをインドリがジャングルの中でライブパフォーマンスしていることになる。
「インドリの歌はフレーズで構成された音符で作曲されています。そのため『人間の作る音楽に顕著な“カテゴリーリズム”を、他の種が共有するかどうか』を調査するのに、インドリは最適なサンプルでした。インドリに音楽的普遍性を見出すことは、人間がこれまで奏でてきた音楽が実は真に自然発生したものではなく、その本質的起源は霊長類の系統に深く根付いている可能性があります」(デ・グレゴリオ博士)
インドリはマダガスカルで1万頭にも満たない絶滅危惧種となった。デ・グレゴリオ博士は、チームの研究がインドリを絶滅から救う一助になればと願っているという。博士たちに、インドリの歌声は応援歌となって響いているのかもしれない。
参考:「Mysterious Universe」、「Inverse」、ほか
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2024.10.02 20:00心霊クイーンの『We Will Rock You』を“本能的に歌う”サルがいると判明! 霊長類にDNAレベルで刻まれたリズムだった!?のページです。クイーン、絶滅危惧種、霊長類、熱帯雨林、楽曲、キツネザル、マダガスカル、インドリ、無限の猿定理、We Will Rock Youなどの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで