第三次オイルショックの黒幕は? 「石油備蓄を放出」バイデン決断の陰謀

 

 世界中に激震が走った。11月23日、アメリカのバイデン大統領はアメリカ、日本、中国、イギリスなど主要国が一斉に「石油備蓄を放出する」と表明した。このニュースは日本でも主要新聞のトップニュースとして報道された。

 バイデン大統領は演説で、

「産油国が供給量を増やしていないことが原油高の原因だ」

と中東の産油国やロシアを批判した。

 確かに世界的な原油高は産油国が協調して増産を見送っていることが原因だ。各国の備蓄放出量を合計すれば1億バレルになる。それが一斉に市場に出回ることでマーケットは一気に原油安に向かうかと思われた。

 が、実際はそうならなかった。確かに備蓄放出のニュースで原油価格は2日だけ下落したがすぐに元の水準に戻ってしまったのだ。

「バイデンは先走りし過ぎた。これで原油価格が一段と高騰する可能性がでてきた」

 とエコノミストは警鐘を鳴らす。それだけならよいが備蓄放出が引き金で第三次オイルショックのリスクも現実化してきたという。

 実はもともと原油市場は来年の一月頃には供給過多に転じて原油価格が下がると予想されていた。ところが今回の備蓄放出でアメリカは産油国の反発を買ってしまった。

 そもそも産油国は先進国が進めるゼロカーボン政策について対立している。将来的に石油がいらない未来を目指す目標は、産油国にとっては死活問題だからだ。

 ここでもし産油国で形成されるOPECプラスが対抗策として協調して生産抑制を行ったらどうなるか?原油はさらに不足して、原油価格は確実に高騰する。

 過去二回あったオイルショックはどちらも政治的混乱によって意図的に引き起こされた。今回、産油国が「ゼロカーボン政策に反対するための実力行使」に踏み切れば必要とされる石油が先進国に届かず、エネルギー危機が引き起こされるだろう。

 過去のオイルショックからの反省から、そうならないように世界各国が石油備蓄を進めてきた。それをバイデン大統領は世界一斉に放出してしまった。

「いつでも石油危機を起こしてくださいという状況だ」

 と国際情勢に詳しい専門家は危機感を表明している。なぜそんな初歩的な失敗をアメリカ大統領がしでかしたのか?

 ここでもしアメリカの権力者の本音は「石油産業や自動車産業を守る」ことだったとしたら?欧州中心に大きな勢力となっているSDGs派、ゼロカーボン派に打撃を与えるためにはリーマンショック級の経済ショックが起きることが早道だ。

 石油ショックが起きて、ガソリンが不足し、生活に必要なプラスチック製品が一斉に値上がりする。そのことで世界中が「石油はやはり必要だ」と認識を新たにする。そのような事態が発生するためのおぜん立てが今回の石油備蓄放出で揃ってしまった。

 その黒幕は?それは備蓄放出を決定した人物だと考えるのが正しい推理というものではないだろうか?

 

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文=須垣泰樹

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