不審死未解決事件と”廃墟”の心霊スポットが関連!? あの惨殺事件と類似点多数…土着の因縁か?


<事件のあらましと前回までの考察>


 今年5月に発覚し、少なくとも“現時点では未解決”となっている熊本の元町会議員の殺害事件。この事件について考えた際に、筆者は殺害現場と同じ市内にある有名な“ある廃墟”のことが頭をよぎるということは、前編にて触れた通りだが、その廃墟とは、かつてその家に住む未亡人が何者かによって自宅で惨殺され、未解決のまま時効を迎えたという曰く付きの廃墟、通称『宇土殺』と呼ばれる民家だ。

 当地ではこの話が若年層を中心に数十年前から広く定着しているそうで、実際、惨劇の舞台となったとされるこの『宇土殺』と呼ばれる廃墟は、住民の惨殺後、熊本震災で大破したことを機に取り壊されるまで実在しており、肝試し気分で侵入する心無い者たちが後を絶たなかったという。実はこの『宇土殺』で起きたという殺人事件で殺害された未亡人・Bさんの夫は、元市議会議員だった男性なのだという。時を隔てた2つの事件でありながらも、なぜか共通して登場する“元議員”の存在。これだけならばまだ偶然といえる範疇かと思うのだが、当時の報道や、取材にあたった人物たちの証言をまとめてみると、実はこの“元市議”の男性(※ここでは仮にCさんとしておく)は、今年起きた事件のAさんと同様、謎の怪死を遂げているのだという。

 しかもそれはその夫人であるBさん(※Aさんにとっては後妻で、金融業などを営んでいたとされる)が殺害されるよりもさらに前の出来事であったとされるから、時系列的にはまず元市議会議員のCさんが不審な死を遂げ、その後、Cさんの妻であるBさんが自宅にて惨殺されたということになる。これが件の『宇土殺』と、それにまつわる事件の大まかな内容だ。

  今から40年近く前に起きたという、未亡人の惨殺事件と、それよりも前に起きたとされる元市議である夫の不審な死。今年起きた殺人事件の被害者であるAさんが、逆算して、当時はまだ30代であったことを鑑みると、いきなりこれらの事件を直接的に結びつけることは難しいが、往々にして、日本というのはどの地方、どの地域においても、土着の利権やローカルルールが存在し、人々の暮らしに少なからず影響を与えているものである。また、そうした要素が、図らずも事件を生み、また、それがなし崩し的に未解決事件化しやすいことは、多くの人々が知るところだろう。そうした意味で言えば、これらの事件を解決へと導く上では、やはりその土地に根ざした“暗黙のルール”にメスを入れ、関係者が堅く口を閉ざしたまま、墓場まで持ち去ろうとしている事象について、口をこじ開けてでも解き明かす必要があるのではないだろうか。

文=野島居慎太郎

日本の凶悪事件に詳しいライター

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