赤ん坊のミイラから驚愕の死因が判明! 肥満なのに栄養欠乏、愛されすぎた子の末路…

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 17世紀のオーストリア貴族の屋敷に眠っていた奇跡的な保存状態の乳幼児のミイラが発見された。なぜこれほど幼くして死に至ったのか。この度研究チームによって400年の時を経てこの謎の赤ちゃんミイラが「剖検(病理解剖)」されたのだ――。

■17世紀の乳幼児ミイラを“仮想剖検”

 オーストリア貴族の乳幼児ミイラを“仮想剖検”してわかったこととは?

赤ん坊のミイラから驚愕の死因が判明! 肥満なのに栄養欠乏、愛されすぎた子の末路…の画像1
「Ancient Origins」の記事より

 ドイツ・ミュンヘンのボーゲンハウゼン病院をはじめとする研究チームが2022年10月に「Frontiers of Medicine」で発表した研究では、オーストリア貴族の屋敷の地下室で発見された子どものミイラを調べるために“仮想剖検”を行い、その詳細をレポートしている。

 この乳幼児が収められた棺には名前の記載がなく正体は不明であったのだが、研究チームは“仮想剖検”と呼ぶCTスキャン、家族の記録、放射性炭素年代測定、および考古学的発掘調査から収集されたデータを使用して検証し、この乳幼児ははわずか1歳で亡くなったライチャード・ヴィルヘルム(1625-1626)であることを特定した。

赤ん坊のミイラから驚愕の死因が判明! 肥満なのに栄養欠乏、愛されすぎた子の末路…の画像2
「Frontiers」より

 ライチャードは、シュタルヘンベルク伯爵の家族に1625年に生まれ、残念ながら翌年の1626年に亡くなった。伯爵の家族は1765年までにオーストリアで実際に王侯の地位を獲得したほどの権力と富を持っていた有力貴族であった。

 400年前のミイラ化したライチャードは驚くべき良好な保存状況にあり、この屋敷の地下室の状態は、自然なミイラ化が発生するのに最適だったようで、少年の高度な保存状態は決して家族による意図的なものではなかった。

 ライチャードの健康状態についてもくわしく調べられたのだが、裕福な貴族の家庭に生まれたにもかかわらず、極度に偏った栄養状態にあり、肺炎の合併症で亡くなったことがわかったのだ。恵まれた貴族の家に生まれたライチャードの健康状態はなぜ悪化の一途を辿り死に至ったのか。

赤ん坊のミイラから驚愕の死因が判明! 肥満なのに栄養欠乏、愛されすぎた子の末路…の画像3
「Frontiers」より

■溺愛するばかりに外に出さずビタミンD欠乏症に

 興味深いことにCTスキャンの検査では、ライチャードが太りすぎだったという明確な兆候も見つかっている。

 その一方で彼が重度の栄養欠乏に苛まれていたことも同様に明らかになるという驚くべき矛盾が見られた。いったいどういことなのか。

 ライチャードは明らかに十分な量の食物を与えられていたのだが、深刻な栄養欠乏が原因である壊血病やくる病に苦しんでいた兆候を示していたのだ。

赤ん坊のミイラから驚愕の死因が判明! 肥満なのに栄養欠乏、愛されすぎた子の末路…の画像4
「Frontiers」より

 くる病の場合、ビタミンD欠乏症の結果であり、日光への曝露が持続的に不足していることが原因である。これは定期的に食事を与えられていたという事実にもかかわらず、ビタミンDをはじめとする栄養欠乏が続いた結果、きわめて衰弱していたことを示唆しているのだ。

“仮想剖検”により見つかったライチャードの肺炎は、くる病に苦しむ子どもたちによく見られるものであり、栄養欠乏が彼の悲劇的な早期死亡に関係していたことを意味する。

「肥満と重度のビタミン欠乏症の組み合わせは、日光への露出がほぼ完全に欠如していることに加えて、一般的に良好な栄養状態によってのみ説明できます」と研究チームのアンドレアス・ネルリッヒ博士は説明する。

 この事実から何が起こっていたと推測できるのか。

 研究チームによれば、ライチャードの両親は乳幼児の健康のために日光が必要であることを理解しておらず、ライチャードを溺愛するばかりに外に一切出さなかったと考えられ、この過保護によって早期死亡に繋がった可能性があると説明する。

 両親の愛を一身に受けて文字通り“箱入り”で育てられた貴族の赤ちゃんは、それがゆえにビタミンD欠乏で死に至ったとは実に皮肉な話である。

参考:「Ancient Origins」、「Frontiers」ほか

文=仲田しんじ

仲田しんじ
場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji
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