スマホの「機内モード」は航空機の電波干渉のためにあるのではない? 意外な理由が判明

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画像は「Getty Images」より

 飛行機に搭乗した時のルーティンは次のようなものだろう。「座席を真っ直ぐにし、トレイテーブルは収納。窓のシェードを上げ、ノートパソコンは頭上の収納ボックスに入れ、電子機器は機内モードに設定……」。

 窓のシェードは、火災などの緊急事態が発生したときに確認できるよう上げておく必要があり、トレイテーブルを収納した状態で座席を直立させれば、すぐに列から離れることができる。理に適った指示といえるだろう。

 また、ノートパソコンは、シートのバックポケットの強度が低いため、緊急時に飛び出してしまう恐れがあり、離着陸時などはロックがかかる頭上の収納ボックスに入れておく必要がある。

 そして、すべてのネット接続を切るために機内モードにすることで電波干渉が起こらず安全なフライトに……多くの人がそう信じていることだろう。

 しかし、1992年に米国連邦航空局とボーイング社は、航空機に干渉する電子機器の使用について調査し、飛行中の重要でない段階(離着陸時を除く)でのコンピューターやその他の個人用電子機器の使用は問題がないことが判明している。

 そして、米国連邦通信委員会は、携帯電話や航空機の航法・通信など、異なる用途のために予約周波数帯域を設け、互いに干渉しないようにしたが、これに続いて世界各国が電波干渉の防止策を打ち出していき、EUでは2014年から離着陸時においても電子機器の使用が許可されるに至った。つまり、電波干渉によるフライトへの影響はなく、そのために機内モードを使用するのはナンセンスなのだ。

 ではなぜ、このような世界的な基準があるにもかかわらず、航空業界は携帯電話およびスマートフォンの使用を禁止し続けているのだろうか? その問題のひとつは、意外なところにありそうだ。

 無線ネットワークはいくつもの電波塔で結ばれているが、地上ネットワークの上を飛ぶ乗客がスマートフォンを使っていると、ネットワークに過負荷がかかる可能性がある。

 2021年に飛行機を利用した乗客数は22億人を超えたが、これは2019年の乗客数の半分でしかない。ただし、ネットワークへの負荷がどの程度のものかはわかっていない。

 また、5Gの出現も問題の1つかもしれない。航空業界は、5Gのネットワークの帯域幅スペクトルが、航空帯域のスペクトルと驚くほど近いため、航空機の着陸を支援する空港付近のナビゲーションシステムに干渉する可能性があると指摘していたりする。

 そのため、オーストラリアと米国の空港運営会社は、5Gの展開に関連する航空安全上の懸念を表明しているが、EUでは5Gは問題なく展開されているそうだ。実際の影響がどの程度かは不明だが、5Gの電波干渉問題が解決されるまでの間、飛行機内での携帯電話の使用を制限することが賢明であることは確かだ。

 しかし、機内モードが利用され続けているさらに大きな理由は別のところにありそうだ。それは機内の乗客の怒りだという。

 客室乗務員にとって、乗客が通話を終えるのを待って、飲み物や食べ物の有無を尋ねるのは不便だというのだ。200人以上の乗客がいる旅客機で、全員が電話をしていたら、機内サービスに途方もない時間がかかってしまう。

 また、オーストラリア・セントラルクイーンズランド大学の航空学部長であるダグ・ドゥルーリー氏は、機内での電話使用の問題は、200人以上の乗客が同時に通話する可能性にあると指摘している。

 エアレイジ(旅客機内で乗客が起こす迷惑行為)をはじめとする乗客の破壊的行動がますます頻発する現在、機内での電話の使用は、フライト体験全体を変えてしまうもうひとつの引き金になるかもしれないという。

 結論として、機内での携帯電話の使用は、現在のところ航空機の運航に支障をきたすものではないようだ。しかし、日々のフライトが滞りなく行われるために、今後も機内モードは使用され続けていくのだろう。

参考:「Science Alert」、ほか

編集部

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