ナチスの財宝を示す地図を公開! オランダの小さな村に強奪品が埋められている可能性

 オランダ・ハーグの国立公文書館からトレジャーハンターたちを狂喜させる収蔵資料が公開された。誰でも閲覧することができるその貴重な資料とはナチスの財宝が眠る地図だ――。

ナチスの強奪品が眠る“宝の地図”

 オランダの国立公文書館は先日、数十億ドルの価値があるともいわれている略奪された財宝の数々を第二次世界大戦の終戦間際にナチスの兵士が埋めた場所を示す“宝の地図”を公開した。

 少し考えてみればわかることだが、確実にそこにお宝が眠っているという地図をタダで公開するわけがない。その地図が指し示す場所はこれまでに何度もトレジャーハンターたちによって探索されてきたのだが、まだ何も発見されていないのである。ナチスの財宝はどこに眠っているのだろうか。

ナチスの財宝を示す地図を公開! オランダの小さな村に強奪品が埋められている可能性の画像1
「Mysterious Universe」の記事より

 物語は第二次世界大戦終戦間際のオランダ東部の都市、アーネムからはじまる。

 1945年4月、イギリス第49歩兵師団の猛攻により一帯が連合国に奪還されることが必定となった時、ドイツ兵は敗走する前に爆破したロッテルダム銀行の金庫から持ち出せるだけの貴重品を持ち出した。

 収奪されたアイテムには、金時計や宝石類、特にカットされて研磨されたきわめて高価なダイヤモンドが含まれていた。ナチスの兵士たちは貴重品を服に隠して持ち出し、盗んだ財宝を4つの大きな弾薬箱に入れて、ヘルダーラント州の小さな村、オンメレンの秘密の場所に埋めてからオランダの東の国境からドイツへ逃げたと考えられている。

 この一件は戦争が終わってしばらくするまで秘密にされていた。オランダ紙「De Telegraaf」の1947年のレポートによると、当時のドイツ兵のヘルムート・ゾンダーは捜査官に対して、道端で「私たちの部隊の3人が金の時計や宝石などの貴重なアイテムが入った4つの箱をオンメレンのどこか埋めているのを見た」と証言した。

 ゾンダーは銀行の金庫が爆破され、兵士たちがそれらの貴重品を手に入れたのだと説明した。

 この話を受けてオランダ政府はゾンダーの証言からオンメレンの地図にナチスの財宝が眠っている場所を記して“宝の地図”を作成し、実際に探索を行った。

 しかし期待された最初の“宝探し”では何も発見されず、その後も何度か探索が試みられたのだが、やはり何も見つからず、地図上には「調査済み」の箇所が増えるばかりであった。そしてオンメレンにおけるナチスの財宝探しは中止され、地図は国立公文書館に提出されたのである。ゾンダーの話は狂言であったのか。それとも付近の別の場所にナチスの財宝がまだ眠っているのだろうか。

 ともあれ時を経て、オランダの国立公文書館はこのいわくつきの“宝の地図”を今回、一般に公開したのである。はたしてこの地図を手にして再びトレジャーハントに挑む有志はあらわれるだろうか。

ナチスの財宝を示す地図を公開! オランダの小さな村に強奪品が埋められている可能性の画像2
「NL TIMES」の記事より

早々に持ち去られている可能性

 1944年にアーネムで銀行の金庫室が爆発した後、ナチスの兵士によって略奪された財宝はまだどこかに存在しているのだろうか。もし存在しているのなら、オンメレンの小さな村で少なくとも今のところは誰もそれを見つけられないのはなぜなのか。

 オランダ・ナイメーヘンにあるラドバウド大学の歴史家、ジュースト・ローゼンダール氏は、銀行の金庫から略奪された財宝は、埋められた直後に掘り返された可能性は十分にあり、おそらくソンダーが当局に話し、彼らが地図を作成する前にはすでに持ち去られていた公算が大きいことを指摘している。

「オンメレンは当時まだ戦闘が行われている地域でした。財宝が埋められ、2日後に再び取り除かれた可能性があります。財宝が消え去っていても驚くには値しないでしょう」(ジュースト・ローゼンダール氏)

ナチスの財宝を示す地図を公開! オランダの小さな村に強奪品が埋められている可能性の画像3
画像は「Pixabay」より

 一度こうして公開された以上、ひょっとするとこれから多くの野心的な人々がこの“宝の地図”のコピーを手にし、金属探知機を持ってオンメレンに向かうのかもしれない。

 それとも過去70年以上にわたって政府や専門家による数多くの調査が失敗に終わっているという事実は、人々に再びチャレンジするのを思いとどまらせるだろうか。

 戦時中に隠匿された財宝や“埋蔵金”の話には疑惑がつきものだが、この村以外にもナチスの財宝が眠っていると目されている場所は世界中にまだいくつもあるといわれている。話の信ぴょう性はどうであれ、今も人知れずどこかに眠るお宝を求めてトレジャーハントの旅に出かけたくなりそうな話題かもしれない。

参考:「Mysterious Universe」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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