中国の監視用気球とロズウェル事件の関係とは? UFO、政府の撤回、核施設、軍の関与…

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画像は「Getty Images」より

 1947年7月8日、ロズウェル陸軍飛行場が墜落した「空飛ぶ円盤」を回収したというプレスリリースを発表したとき、アメリカ史上最も有名なUFO事件が発生した。だが、この発表はすぐに撤回され、墜落した気象観測気球を回収したという報告に取って代わられた。さらに、この報告は数十年後に、それがプロジェクト・モーグルの核実験監視気球であったとする空軍の報告に置き換えられた。

※ UFO(Unidentified Flying Object:未確認飛行物体)は、説明のつかない航空現象をすべて含むが、現在は「宇宙人の乗り物」という意味で用いられることが多い。そのため、現在アメリカ軍では「宇宙人の乗り物」という意味合いが強くなったUFOに替えて、説明のつかない航空現象に対し、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用している。最初のUFO目撃談とされる1947年の「ケネス・アーノルド事件」で、実業家のケネス・アーノルドが目撃した飛行物体について「水の上を滑る円盤のように」動いていたと描写したことから、宇宙人の乗り物を「空飛ぶ円盤(flying saucer)」と言うこともある。

 さて、米国史上2番目に有名なUFO事件は、2023年2月2日にモンタナ州の当局者が北米上空にUFOがいたという報告をした時に一瞬だけ存在したかもしれない。その報告はすぐに撤回され、UFOは中国に属する「高高度監視気球」であったという米国防総省の声明に差し替えられた。この気球は核ミサイル格納庫を備えたマルムストローム空軍基地の上空を通過しており、機密情報の収集を目的としている可能性が疑われた。4日にはサウスカロライナ州沖上空で撃墜された。

 これらの報告は75年離れているが、どちらもUFO、政府の撤回、気球、核施設、軍の関与がある。今年は、ペンタゴンがUFO調査のために新設した部署からの報告書を公開し始めた年である。UFO、気球、米軍、他の国の軍隊、監視、核兵器、核戦争に関して、1947年のロズウェル事件以来、何か変わったことがあるだろうか?

 最近発表された国防総省のUFO調査に関する公開報告書の第1弾は、1つのことを明確にした。ほとんどのUFO目撃例は説明が可能であり、その多くは熱気球、気象観測気球まで、あらゆる大きさの気球であった。75年経った今でも、ほとんどの人は気球とUFOの区別がつかない。2022年、アメリカ空軍はハワイのカウアイ島上空で奇妙な無印の気球を追跡していたことを明らかにした。2つの気球の写真は非常によく似ているように見える。また、ハワイの気球はカウアイ島実験施設と太平洋ミサイル射場施設の近くにあった。75年前のロズウェル事件は、ソ連の原爆実験で発生した音波の長距離探知を主目的とした高高度気球が、国内最大の空軍基地近くに墜落したというのが公式見解だ。

 結局のところ、今回の気球は撃墜され、それに対して中国政府が抗議している。75年前、ロズウェル事件を起こしたとされる気球は、拡大するソ連との冷戦に関与していた。今日の気球事件は、米中間の緊張が高まっていることの一端を担っているといえるだろう。

 UFO、気球、軍、核兵器の関係こそ、UFO史上最大の事件を解明する鍵なのかもしれない。

参考:「Mysterious Universe」ほか

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