15歳でベンチプレス145kg「世界最強の少女」がロシア兵として戦地へ… プーチン大統領を全面支持、シュワルツェネッガーにドネツク訪問を要請
ロシアのウクライナ侵攻から1年を優に過ぎたが、ご存じのように今なお戦闘は続いている。ウクライナ侵攻で微妙な立場に立たされているロシアのアスリートたちだが、「世界最強の少女」と呼ばれたロシアの女子パワーリフティング選手はバーベルを置いてその代わりに銃を手にし、戦地の最前線へと向かった――。
15歳で世界記録を樹立した「世界最強の少女」
10歳でウェイトリフティングを始めたマリアナ・ナウモワは2015年、15歳の時に元政治家で俳優のアーノルド・シュワルツェネッガーが創設した「アーノルド・クラシック」のパワーリフティングに史上最年少で出場し、ベンチプレスで320ポンド(約145キロ)を挙げ、18歳未満女子の世界記録を樹立して周囲を驚かせた。
この快挙でマリアナは「世界最強の少女」の称号と名声を得て、彼女に感銘を受けたシュワルツェネッガーとハグを交わす一幕もあった。
この時に彼女は「NBCニュース」に次のように語っている。
「アメリカに行ったら人々は私を嫌ったり、避けたりするだろうと思っていました。しかし、そんなことはありませんでした。人々はいつもやって来て、こう言いました。『ロシアから来たの? かっこいい!』って」(マリアナ・ナウモワ)
輝かしい業績は本国ロシアでも高く評価され、ロシア政府はマリアナに「スポーツマスター」の称号を授与したのである。そしてマリアナはロシア連邦共産党の党員となった。
インスタグラムで3万2000人以上のフォロワーを持つインフルエンサーにもなったマリアナはその後の活躍がますます期待されたが、2022年2月のロシアのウクライナ侵攻が彼女の人生に多大な影響を及ぼすことになる。
共産党員としてプーチン政権に忠誠を誓っているマリアナは、もはや世界のトップアスリートとしての存在だけではいられなくなったのだ。
最前線に赴き現地レポーターに
ロシアがウクライナに攻め入るや、マリアナはアスリートらしからぬ発言を行うようになる。
一連のインスタグラムの投稿で、彼女は戦争について率直に語り、プーチン大統領の特殊作戦についていくつかの主張を行っている。
マリアナによればウクライナはすでにロシアの都市や村を攻撃しており、ウクライナへの侵攻を決断したプーチン大統領を全面的に支持する旨を表明したのである。
そして恩師ともいえるシュワルツェネッガーに宛てた公開ビデオメッセージを投稿し、ウクライナ軍からの攻撃を受けている民間人の窮状を目の当たりにするためにドンバス地域を訪問するように進言している。
マリアナはかつてシュワルツェネッガーがイラク侵攻中にバグダットの駐留米軍を訪問したことを考えると、ウクライナ軍から砲撃を受けているドンバスの子供たちのもとを訪問する勇気を持つべきだと述べたのである。
そしてマリアナはドンバスを訪れ、自らも軍服に身を包み時にはライフルを手にして現地の様子をYouTubeなどでレポートしている。
「ウクライナ軍はすでにロシアの都市や村を攻撃し、ロシアのインフラを破壊しています」(マリアナ・ナウモワ)
つまりロシアが併合を宣言したドネツクなどの地域への攻撃は、ロシアの領土への攻撃だと主張しているのだろう。
ドネツクに滞在しているマリアナだが、はたしてこのまま兵士の一員となって本格的に軍務に携わることになるのだろうか。アスリートとして本望であるとは思えないのだが、今後の彼女の行方が悲劇になってほしくはないものである。
参考:「Daily Star」、「The Sun」ほか
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