UFOが謎の物質を投下、軍用機墜落、MIBの姿も… 1947年「モーリー島事件」とは?

“史上最大のUFO事件”である「ロズウェル事件」の2週間前に米ワシントン州モーリー島でもUFO遭遇事件が発生していた。少年が軽傷を負い、犬が事故死した「モーリー島事件」とはいったいどんな出来事だったのか――。

■モーリー島沿岸上空に6機の巨大UFO

 今から76年前の1947年という年はUFOの歴史にとってマイルストーンとなる年だ。

 1947年に起こった“史上最大のUFO事件”である「ロズウェル事件」はあまりにも有名だが、同年には「ケネス・アーノルド事件」に加えて「モーリー島事件」も起こっている。

 6機の巨大なドーナツ型UFOが目撃された「モーリー島事件」は、その後の不可解な悲劇を含めて今も謎に包まれている。

 1947年6月21日、巡視員のハロルド・ダール氏は米ワシントン州のモーリー島近海を巡視船でパトロール中、上空に6つの巨大なドーナツ型の飛行物体、つまりUFOを目撃した。その時に同乗していたのはダール氏の息子と2人の乗組員、そして飼い犬1匹であった。

UFOが謎の物質を投下、軍用機墜落、MIBの姿も… 1947年「モーリー島事件」とは?の画像1
画像は「Wikipedia」より

 UFOの1つは動きが不安定で急降下し、その途中で「溶岩のような」灼熱の危険な破片をばら撒き、その一部は巡視船に当たってダメージを被った。ダール氏の息子の腕に破片が当たって負傷し、破片が直撃した飼い犬は死んでしまったのだ。

 しかし、制御を取り戻したのか、そのUFOの急降下は止まり破片のばら撒きも止んで、機体は上昇してほかのUFOと共に飛び去っていった。

 いったん港に戻ったダール氏は乗組員と共に浜辺と海の浅瀬でUFOから落とされた破片をいくつか回収した。そしてたちまちこの「モーリー島事件」は地元の人々で大きな話題になった。

 地元紙の新聞記者は、この話が広まり始めた直後にダール氏の家に行ったところ、ダール氏と彼の妻の間で激しい口論が行われているのを目撃する。この一件で記者は今回のUFO騒動は作り話の可能性が高いと判断し、ほかの新聞などのメディアにわざわざ取材しないよう警告したのだった。

 翌日、謎の全身黒ずくめの人物が新車の黒のビュイックを運転してダール氏の家にやってきた。

 彼は自分が誰であるか、誰を代表しているかを明らかにすることを拒否したが、この件のすべて知っていると説明し、ダール氏にこれ以上誰にも何も言わないように忠告した。もし話せば深刻な結果が生じるだろうとほのめかしたのだった。この人物は戦後に最初に報告されたMIB(メン・イン・ブラック)ということになるのかもしれない。

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画像は「Pixabay」より

■破片を運んでいた軍用機が墜落

 ダール氏らが回収したUFOが落とした破片に当局も関心を持ち、米軍関係者が分析のためにダール氏から破片の提供を受けたのだった。

 破片を入手した米軍の情報将校2人はカリフォルニアの本拠地に戻るため、B-25爆撃機に乗ってマッコード基地から午前2時30分に飛び立った。

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B-25爆撃機 画像は「Wikipedia」より

 しかし離陸して間もない時点で、爆撃機はワシントン州ケルソーのすぐ東の上空で炎上し森の中へ墜落したのである。乗員2人が死亡し、UFOが落としたとされる破片のサンプルの所在もわからなくなってしまう。

 墜落事故の翌日、マッコード基地に内部告発を主張する匿名の電話が3度あり、爆撃機に積まれたUFO由来の破片を隠蔽するために意図的に撃墜されたのだと説明したということだ。

 米軍とFBIの両方が、モーリー島事件に関する包括的な報告書を作成した。その中では多くの未解決の問題が引用され、ダール氏らの主張はUFOの物語でひと儲けするために捏造されたデマである可能性が高いことが指摘されている。

 またこの2日後に同じくワシントン州上空で“円盤型UFO”が目撃された「ケネス・アーノルド事件」との関係性も指摘されていて事態を複雑にした。

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画像は「Pixabay」より

 モーリー島事件は当局によって否定的に扱われたものの、UFOとMIBが関係した初期の近代UFO事件として語り伝えられることとなった。そして破片が落ちた場所や、爆撃機の墜落現場への本格的な調査はまだ行われておらず、今後の調査如何によっては新たな展開が見えてくる可能性も皆無ではないのだろう。

参考:「Vashon-Maury Island Beachcomber」ほか

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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