誰もが信じた6つのデマ! スパゲッティの木、ウサギを出産する女、計算する馬…(前編)

 歴史・科学・文化にまつわる知られざる事実を伝えるアメリカのYouTubeチャンネル『Mental Fross』より、かつて多くの人が信じ込んだあり得ない6つの事例を紹介する。前編となる本記事ではその中から3つを紹介する。

デマ1
BBCが放送した『スパゲッティツリー』

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画像は「Wikipedia」より

「金のなる木」はないと親は言うけれど、スパゲッティーはどうだろうか?

 まずは、スイスにあるとされたパスタのなる木の奇妙な話を紹介する。

 その話が放送されたのは1957年4月1日。1953年から現在も続いている英BBCの『パノラマ』という時事問題を紹介する番組で、スイスの女性達が木からスパゲッティーの束を摘む様子が映し出されたのだ。

 厳粛でとても信頼されていた司会者のリチャード・ディンブルビーは「(穀物を食い荒らす)スパゲッティーゾウ虫が消えたおかげで、今年は豊作になった」と語った。

 4月1日に放送されたということもあり、ほとんどの人はジョークであると捉えたが、それでも多くの人が騙されたため、BBCに問い合わせが殺到。中には育て方に関する問い合わせも含まれ、番組スタッフは「トマトソースの缶にスパゲッティーの小枝を植え、うまくいくことを祈る」と回答したという。

 最終的にデマが明らかになった時、BBCは信頼する人々を騙したとして多くの非難にさらされた。

 しかし、BBCはこの件にコリていないようで今までにもかなり説得力のあるエイプリルフールのニュースを放送してきた歴史がある。

 2004年、スパゲッティーツリーコーナーのオリジナル脚本を担当したデヴィッド・ウィーラーは「申し訳ないとは思っていない。テレビで見ること全てを信じるのではなく、あり得ないと思った時は批判的な態度をとることも良いアイデアだ」と述べた。

デマ2:
メアリー・トフト

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画像は「Wikipedia」より

 1726年4月、イングランド、サリー州の畑で働いていたメアリーはウサギがいることに気づき、家族へふるまうために捕まえようとしたが失敗。その後3カ月間、彼女はウサギを食べることだけに取り憑かれたという。

 するとあまりにも奇妙な出来事が彼女に起こった。メアリーは立て続けに“流産”を繰り返したのだが、それらは「ウサギの頭」「猫の脚」「9羽の死んだウサギ」だったのだ……。

 サリー州で変なものを出産している女性がいるという噂はロンドンまで広がり、当時の王であるジョージ1世がこの現象を調査するために医者を送った。
流産したウサギの内臓を調べた医者は「彼女の体内でウサギの肺が発達するはずがない」と指摘。またその医者は別のウサギの排泄物から干し草とトウモロコシが含まれていることも発見した。子宮の中で作物を育てることが無理なのはわかりきったことだ。

 だが他の医者達はメアリーが胎内感応(妊婦の精神状態・ショック・ストレスがそのまま胎児に反映し、胎児の形態異常を引き起こすといった当時の考え)により苦しんでいると信じていた。

 よって、メアリーが畑でウサギに驚いた際に彼女の精神状態がウサギの赤ちゃんを出産する原因になったと理由付けたのだ。

 しかし、結果的にメアリーの出産はイカサマだった。彼女は訪問者らに賄賂を渡して動物の部位を受け取り、共犯者らとともに体内にそれを入れていたのだ。

「問題の真相を解明するには痛みを伴う手術が必要」と言われ、最終的にメアリーはそのことを自白。死んだウサギを何度も出産した事により彼女は酷い感染症を引き起こしていた。

 その後、メアリーは詐欺罪で数カ月を刑務所で過ごし、釈放後はひっそりと暮らしていたという。

デマ3:
クレバー・ハンス(賢馬ハンス)

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画像は「Wikipedia」より

 1904年、計算をする・時間を告げる・色を認識する・音楽を聴いて作曲家を特定などその他数々の驚くべきトリックをこなすとある馬に人々は魅了された。すでにデマのように聞こえるが、当時の科学者・獣医・心理学者も同じように考えていた。

 クレバー・ハンスは彼のトレーナーであるウィルヘルム・フォン・オステンという数学教師によって紹介された。当然のことながら、人々は彼が何らかの形でハンスに答えを教えていたのではと疑っていた。ハンスは多くの研究者によって徹底的にテストをされたが誰もそのトリックを解明できなかった。ハンスはフォン・オステンが近くにいない時でも、初めて会う人が相手でも何度も成功を収めたのだ。最終的に人々は人間と同じように考えることができる動物もいるという結論に達せざるを得なかった。

 だが、1907年に生物学者であり心理学者のオスカー・プフングストが暗号を読解したのだ。

 ハンスを観察しテストをした後にプフングストは、質問者も答えを知らなければ馬が正解することはできないだろうと指摘した。さらに調査をするとハンスの視界に質問者がいないと答えられないことがわかった。結論を言うと、ハンスは答えを知らなかったのだ。しかし、彼は質問者の微細な顔の反応や合図を見て彼らが期待しているように反応し、正しい数の蹄を地面に踏みつけることができた。

 今日でもクレバー・ハンスという用語は、研究者達にとって研究対象者に誤って手がかりを与えるリスクを指す意味として使われている。可哀想な馬をインチキと呼ぶのは不公平かもしれない。クレバー・ハンスはとても賢い馬だったのだ。これほど多くの人々の微細な顔の表情を読み取るには、かなりの知性が必要だ。しかし、人々はトリックが明かされた後すぐに幻滅してしまった。

参考:「Mental Fross (YouTube)

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文=タイラー・ひかる(トカナ編集部)

怪談・心霊を愛し、特にルポルタージュ怪談が大好物。ドイツ在住中に体験した不可思議な体験を元に魔女狩り・サイコキネシスにも関心を持つ。4ヶ国語を操るマルチリンガル。好きな映画監督はダリオ・アルジェント。 TOCANA|UFO、心霊、予言など未知の世界の情報を発信、好奇心と知的欲求を刺激するメディア
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