UFO=宇宙人の乗り物説は日本発祥だった!? 小松崎茂が見た怪鳥と『地球SOS』の先見性

――「超常現象」分野に深い造詣を持つオカルト研究家・羽仁礼が歴史的UFO事件を深堀りする。

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画像は「Getty Images」より

 前回述べたとおり、1948年(昭和23年)当時の少年向け物語や漫画においては、UFO(※)の正体は地球上の秘密結社が作った秘密兵器とするものがほとんどであった。現在主流となっている地球外起源説、つまり、UFOは地球外の天体から来た知的生命体が操る宇宙船であるという説は、この頃の日本ではほとんど見られなかった。

(※) UFO(Unidentified Flying Object:未確認飛行物体)は、説明のつかない航空現象をすべて含むが、現在は「宇宙人の乗り物」という意味で用いられることが多い。そのため、現在アメリカ軍では「宇宙人の乗り物」という意味合いが強くなったUFOに替えて、説明のつかない航空現象に対し、「UAP(Unidentified Aerial Phenomena:未確認航空現象)」という呼称を採用している。最初のUFO目撃談とされる1947年の「ケネス・アーノルド事件」で、実業家のケネス・アーノルドが目撃した飛行物体について「水の上を滑る円盤のように」動いていたと描写したことから、宇宙人の乗り物を「空飛ぶ円盤(flying saucer)」と言うこともある。

 1949年(昭和24年)になってからも、少年誌『冒険世界』(ロック社)の絵物語「アトム島27号」、海野十三の小説『ふしぎ国発見』(日本放送出版協会)などに「空飛ぶ円盤」が登場するが、いずれも地球の秘密結社の新兵器とされている。

 この状況は、本場アメリカでも同じだった。

 アーノルド事件の直後、1947年(昭和22年)8月には、アメリカの世論調査会社ギャラップがUFOに関する最初の世論調査を行っているが、このときUFOの正体としては無回答あるいは不明が33%、幻覚や見間違いというのが29%、アメリカの秘密兵器とする者が15%、いたずらが10%と続くが、宇宙船という説は独立項目にならないほど少数だった。

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小松崎茂(画像は「Wikipedia」より)

 ところがそのような時代に、日本で地球外起源説に基づいた作品が発表されている。小松崎茂の『地球SOS』である。

 小松崎茂(1915~2001)は東京出身の絵物語作家で、戦後はタミヤのプラモデルの箱絵などを描いたイラストレーターとしても知られている。

 東京の南千住に生まれ、青年期には日本画家を志すが、後に挿絵画家に転じ、第二次世界大戦時には少年向け雑誌に戦記小説の挿絵や、軍艦、戦車、飛行機などのイラストを数多く発表する。

 戦後は創刊間もない『冒険活劇文庫』(明々社)の編集部に依頼され、創刊第2号、つまり1948年(昭和23年)10月号から初めての絵物語を連載した。それが『地球SOS』であった。

 内容は、地球を征服しようとするバグア彗星人と地球人との、最新の科学兵器を駆使した攻防が中心となっているが、バグア彗星人が操る兵器の中に、作中でかぶと虫とも呼ばれる楕円形をした小型円盤形ロケット、さらにそれを巨大化したような母船が登場する。他にも、葉巻型をした巨大ロケットも登場する。

『地球SOS』は、当時絶大な人気を誇ったという。だとすれば当時の日本の子供たちは、空飛ぶ円盤=宇宙人の乗り物というアイデを強烈にすり込まれた、世界で最初の人間集団なのかもしれない。

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ProjectBLUE 地球SOS〈1〉(早川書房)

 さらに『地球SOS』では 敵方のバグア彗星人は、地球の昆虫のような生物だという設定も用いられているが、これは、アメリカのジェラルド・ハードが1951年(昭和26年)の『地球は狙われている』で発表した、地球のハチのような生物がUFOを操っているという説を先取りするものとも言える。

『地球SOS』は、その後掲載誌を移しつつ、『少年画報』1951年(昭和26年)10月号まで3年にわたり連載され、人気を博しながらも、編集部内の問題もあって結局未完に終わっている。しかし1975年(昭和50年)には、桃源社から復刻版が刊行され、2006年(平成18年)には『Project BLUE 地球SOS』としてアニメ化もされている。

 では小松崎茂は、時代を先取りするようなこうした着想をどのようにして得たのであろうか。

 その点に関し小松崎は、1975年の復刻版のあとがきで、自身の奇妙な体験を書き残している。少し長くなるが以下に引用する。

「二十一年の七月ビキニ環礁で日本の戦艦「長門」が水爆実験された。……その直後、東京の空に一羽の怪鳥が飛んだ。B29ぐらいあったろうと人々は云った。私は信じなかった。私は見ていなかったものだから。しかし、それから三日後、日暮里の陸橋で南から北へ飛ぶ一羽の大鳥をはっきり見た。まさかB29ほど大きくはなかったが、翼は十二米くらいあったろうか。鴻の鳥らしかった。高度は五、六百米くらいか、すごい早さで翼を動かして積乱雲の彼方へ消えて行った。……これは大変なことになった。今までの人間の知らない秘境が世界中にあるのだ。折りしも空飛ぶ円盤のニュースがラジオで、度々聞かれるようになった。……そうだ宇宙からの敵が来たら、敗れた日本も勝ったアメリカもこれにあたらなければならないのだ。その云う絵物語を描こう。……」(桃源社刊『地球SOS』より)              

 つまり小松崎は、自ら謎のUMA(※)を目撃して世の中には未知なる存在がまだまだ残されていると実感し、宇宙からの敵の前に人類がひとつになるという願いを込めて、やはり未知なる存在であった空飛ぶ円盤を取り入れたようだ。

(※) UMA(ユーマ、Unindentified Mysterious Animal)とは未確認生物を意味する和製英語。未確認生物とは何世紀にもわたって語り継がれてきた物語や伝説に登場したり、また、今日でも目撃例があるが実在が確認されていない生物のことだとされている。物語、伝説、噂話などで語られる生物であるため、科学的な対象ではなく、“オカルト”に分類される。英語圏で、未確認生物はCryptid (クリプティッド)と呼ばれ、これを研究する学問はCryptozoology(クリプトズーロジー、暗号生物学)と呼ばれるのが一般的。

 それにしても小松崎が見たという巨大な鳥の正体は、一体何だったのだろう。

 アメリカ大陸では、サンダーバードという巨大な鳥が時折目撃されており、アフリカからもオリティアウやコンガマトといった空飛ぶUMAの報告があるが、日本にも似たような巨鳥が住んでいるというのだろうか。それともたまたま当時、どこかから飛来してきたものだったのか。いずれにせよ、目撃者は小松崎一人だけではないようだ。

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文=羽仁礼

一般社団法人潜在科学研究所主任研究員、ASIOS創設会員、 TOCANA上席研究員、ノンフィクション作家、占星術研究家、 中東研究家、元外交官。著書に『図解 UFO (F‐Files No.14)』(新紀元社、桜井 慎太郎名義)、『世界のオカルト遺産 調べてきました』(彩図社、松岡信宏名義)ほか多数。
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