今すぐ行きたい「韓国スラム4選」! 日本人の墓が敷石に… 消滅するドヤ、バラック、ちょんの間(村田らむ)

 前回紹介した『慰安婦像大図鑑』の日野健志郎さんは、韓国マニアである。なんでも、韓国に旅行しすぎたせいで韓国語は話せるようになったくらいだ。

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『慰安婦像大図鑑: 韓国全土155像収録』 (パブリブ)

 わたくし村田らむとは古い仲で、何度も韓国旅行をしている。トカナでも紹介したスラムネタなどは、日野さんから教えてもらったものが多い。

 コロナが明けてから、2人で韓国に行ったのだが、昔に比べてかなりの変化があった。端的に言えば、スラム的な場所が減っていた。

 日野さんいわく、「韓国は今は転換期なので、そういう隙間のような場所、変な場所は、どんどん縮小していく、消えていくと思います。行きたいと思う人はなるべく早く行ったほうがいいですね」とのこと。というわけで消えそうな、韓国のスラム街を4つ紹介する。行きたいと思った人は、サクッと行こう!!

1.九龍村

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九龍村(提供:村田らむ)

 高級住宅地カンナムにあるスラムだ。カンナムはソウルの中では新しい街で、ピカピカなビルが建ち並んでいるが、その裏手には韓国最大級のスラム街が広がっている。スラムの入り口にはボランティア団体がいて「揉め事になるから入らないでくれ」と言われた。入り口は複数あるので、ちょっと回り道すれば入ることができた。

 スラム街もいろいろあるが、かなり掘っ立て小屋感が強いバラックが並ぶ。多摩川の河川敷に建っているようなボロい小屋に、毛布などの布をかけただけのようだ。

 だが電気水道などは通っているようだが、電線がまた酷い。街路灯に蜘蛛の巣のように、こんがらがって巻き付いている。こんな状態だと火事になるのではないか? と心配になったが、実際によく火事は起こっているようだ。火事でだいぶ面積が小さくなっている。また、あからさまにカンナムのビル群が近づいてきている。

 今はまだ放置されているが、そのうち行政代執行で全員撤去。デカいビル群になりました……という日は遠くないだろう。

 行くなら今しかねえ1位のスラムである。

2.ペクサマウル

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ペクサマウル(提供:村田らむ)

 タルトンネは月の街の意味。標高の高い場所にあるスラムだからそう呼ばれている。朝鮮戦争から高度成長期にかけて形成されたが、現在はほとんどが消えてしまった。

 ソウルにある最後のタルトンネがペクサマウルと呼ばれる場所だ。ペクサマウルは、白砂の村という意味。住所は「蘆原区 中渓洞104番地」。104番地の発音が白砂の発音と同じことから、そう呼ばれている。

 山に向かってかなり急な坂道になっている。両脇にボロボロの家屋が連なる。瓦礫やゴミが積まれて、天井は布やビニールシートが敷いてありレンガで押さえつけている。日本ではなかなかお目にかかれないスラムだ。

 家はボロボロだが、家の前に置いてある自動車は高級車も見受けられる。

 人通りはかなり少ないが、昨今は人気のウォーキングコースになっている。ウォーキングしている人のために売られているのが、マッコリだ。運動して、マッコリなんか飲んだら泥酔しちゃいそうなもんだが。

3.碑石文化村

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碑石文化村(提供:村田らむ)

 釜山のタルトンネが碑石文化村だ。

 釜山のタルトンネは町おこしが成功して生まれ変わった。建物はカラフルに塗られ、奇妙な像や壁絵などのアート作品が並び、多くの観光客が訪れている。観光しながら歩いていると、豆腐の上に家が建っているような、奇妙なゆるキャラがある。

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碑石文化村(提供:村田らむ)

 そのキャラクターの矢印に従い、細い路地を進んでいくと、パステルカラーに塗られた家が現れた。家の敷石をよく見てみると、『国分治之墓』と書かれていた。

 碑石文化村は日本統治時代に建てられた日本人の墓石を、建物の敷石などに利用している村だ。豆腐のようなゆるキャラは日本人の墓をイメージしたキャラなのだという。

 韓国のお墓では墓石を使わないので、墓石を見てもお墓を想起しないという。でも、さすがに『南無阿弥陀仏』とか書いてある石を毎日踏むのはどんなものなのか。

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碑石文化村(提供:村田らむ)

 村おこしとして成功しているので、しばらくはなくならないだろうが、日本人のクレームが入ったりして、見ることができなくなる可能性はある。

4.永登浦(ヨンドゥンボ)

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永登浦(提供:村田らむ)

 ヨンドゥンボはソウルの真ん中にあるので、とても行きやすい。安ホテル街がたくさん並んでいるので、日野さんと一緒によく泊まっている。雰囲気としては新宿歌舞伎町と大阪西成を合わせたような感じだ。

 飲食街やモーテルが並ぶ繁華街エリア、職安と安宿が並ぶドヤエリア、そして飛田新地のような“ちょんの間”があるエリアなどに分けられている。

 駅前では、炊き出しをやっていたり、キリスト教のコンサートが開かれたりしているし、路上に豚の顔の皮や、豚足など食材が積まれていてなかなかワイルドな光景を見ることもできる。

 ヨンドゥンボはとても便利だし楽しい街なのだが、今年の1月に出かけたら旅人宿と呼ばれるエリアがかなり削られていた。

 オシャレな商業ビルが建ち並ぶ街に変化していくようだ。まあ、それはそれで楽しいと思うが、スラム街を見たい人は早く行くしかない。

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文=村田らむ

ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター
1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)、『樹海考』(晶文社)、『ホームレス消滅』(幻冬舎新書)など。

Twitter:@rumrumrumrum

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