虚空太鼓、孕のジャン、子泣き爺、天狗倒し… 日本中で鳴り響く怪音の正体とは?

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画像は「Getty Images」より

 虚空太鼓とは、どこからともなく鳴り響く太鼓の音を称した怪異である。日本各地で類似した現象が伝わっており、その正体についてはハッキリとわかっていない。

 山口県の大島では、昔、安芸の宮島に帰ろうとした曲芸師の一行が船で大島瀬戸にさしかかった夜、突如として嵐に巻き込まれてしまい、海岸の人々に遭難船であることを知らせようと皆が太鼓を必死になって叩いたがついに沈没、それ以来、一行が遭難した季節になると海の底から太鼓の音が聞こえてくるようになった、という伝承が残っている。

 また、山口県大島町の小松という地では、旧六月の夜に沖合でどこからともなく太鼓の音がしてきたという。不思議なことに、対岸の大畠で聞くと小松から、小松から聞くと笠佐島から聞こえてきており、果たして音の出所を明らかにすることはできなかった、といった話もある。

 海からの怪音ではこの他、高知県に伝わる「孕(はらみ)のジャン」と呼ばれるものが知られている。海が閃光を放ち、「ジャン」という音が鳴り響くという怪音であり、それが鳴ると不漁が続くとして恐れられていた。この孕のジャンに対しては、物理学者寺田寅彦によって「海底地震に関連した現象ではないか」との説が上げられている。

 これに関連して、作家山口敏太郎の妖怪「子泣き爺」に対する意見も合わせるととても興味深い。それによれば、子泣き爺の伝承にある「出没すると地震が発生する」という点から考えると、地震発生の前段階に起こるプレートの軋み音が泣き声として表現されたのではないかというのだ。これは寺田寅彦の孕のジャンに対する見解ともリンクしているように思える。しかも大島を含んだ玄界灘は、古くから地震活動が盛んであったことが事実として判明しているというのだ。

 怪音の怪異や妖怪は多い。海だけでなく山においても、「古杣(ふるそま)」や「天狗倒し」と呼ばれる、樵が木を挽いたり切り倒したりするような音がどこからか鳴り響く現象が伝わっている。これらについては、人里離れた山中での不安な心理が引き起こした幻聴であるとも一説にはいわれているが、自然現象によって引き起こされた異音を何らかの音に例えたのではないかという説は、大いに考えられるだろう。

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文=にぅま(ミステリーニュースステーションATLAS編集部)

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