出所不明の怪音現象「ザ・ハム」は存在する! 健康被害は現実、専門家が警鐘
出所不明の“ハミング音”が鳴り響く怪現象「ザ・ハム」。英サウス・ウェスト・イングランドの「ブリストル・ハム」、米ニューメキシコ州の「タオス・ハム」、インディアナ州コーコモーの「コーコモー・ハム」、カナダ・オンタリオ州ウィンザーの「ウィンザー・ハム」など、その報告例は枚挙に暇がない。
そして、この度、英BBCが「ホルムフィールド・ハム」と呼ばれる新たな“ザ・ハム”について報じた。イングランド・ウェストヨークシャーに位置するホルムフィールドに住むイヴォンヌ・コナーさんは、「私は自分の家が大好きなのですが、家にいるのが嫌になる日があります。ここにはもう幸せな空間がないように感じます」と、その不快音の影響を話している。
彼女にとってこの音は、洗濯機の音やアイドリング中のディーゼルエンジンのような、常に鳴り響く音であり、ホルムフィールドのすべての人が経験しているわけではない。しかし、経験している人にとっては、その影響は深刻で、イヴォンヌさんは健康と仕事を犠牲にしてきた。
イヴォンヌさんは、家の奥にある天井の高いキッチンで話をしながら、「昼も夜も、この音は鳴り続けている」と話す。
高音と異なり、ハム音のような低周波音(周波数は約10Hzから200Hz)は遮蔽することが難しく、耳栓やヘッドホンなどの遮蔽物を通過することが可能だ。街や家が静かな夜には、騒音は増幅される。
「ある夜、私は午前5時半ごろにハッと目が覚めました。頼むから」と思ったが、枕元から聞こえてくるのだ。ヘッドホンをして音楽をかけ、仰向けに寝て、何とかその存在を忘れられるようにと願うしかなかった。でも、それは不可能で、まるで終わりのない拷問のような感じです」(イヴォンヌさん)
とはいえ、被害を受けているのはイヴォンヌさんだけではない。ハムのせいで睡眠障害になってしまった住民などが多数いる。2020年、ウェスト・ヨークシャーの村とその周辺に住む多くの人々が、カルダーデール議会に不快音の調査を促す嘆願書に署名している。
谷底にあるホルムフィールドは、広大な工業地帯と商業施設に囲まれ、住宅が点在している。村人たちは以前から、地元の工場が騒音の原因だと考えていると話してきた。
2000年以降、世界保健機関(WHO)は低周波騒音を、健康にさまざまな影響を及ぼす環境問題として認識するようになった。音響の専門家であるピーター・ロジャーズ氏は、ザ・ハムは実在すると指摘している。
たとえば、イヴォンヌさんの場合、この騒音に囲まれて生活することで、帯状疱疹や不安感、頭痛などが引き起こされ、チャリティー支援員としての仕事を辞めるほどの影響を被ったが、彼女は自分の正気を疑ったこともあった。
ロジャーズ氏は30年以上同じようなケースに遭遇してきたが、イヴォンヌさんのような人は本当の音を聞いていることがわかっているという。
「多くの場合、彼らは自分自身を疑い始め、自分がおかしくなってしまったと思うのです。私たちは、そのような人たちの中に入っていき、測定することによって、それが存在し、彼らが正気であることを科学的に証明することができます」
ただ、その発生源を見つけることは「干し草の中から1本の縫い針を見つけるようなもの」だという。発生源を突き止めるためには、あらゆる生活音の発生源をオフにする必要があるが、それは現実的に不可能だ。
ロジャーズ氏によると、このような音の原因には、家庭内の主電源のハム音、近所のお風呂、電信柱の変圧器、工場敷地内など、些細なものがよくあるという。また、居住者が異なるハム音を聞いていたり、騒音源が混在していることもよくあるそうだ。
カルダーデール議会は「調査に全力を尽くし、あらゆる手を尽くした」と述べ、現在ではこの事件は解決しているとしている。しかし、イヴォンヌさんや他の人たちの苦しみは今も取り除かれていない。
参考:「BBC」ほか
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