霊能力だけで殺人は可能!? 「スピリチュアル雷電」で科学者を殺害、死ぬまで心拍数を上げ続け…
念力や霊能力、あるいは催眠術などの精神的な影響力で他者に物理的なダメージを与えることができるのだろうか。目に見えない力が影響を及ぼしたとしか考えられない不可解な出来事が記録に残されている。
アンナ・キングスフォード
イギリスの反生体実験主義者、菜食主義者、女性の権利運動家のアンナ・キングスフォード(1846-1888)は幼い頃から強力な霊能力を持っていたといわれている。
パリで医学生だった頃の彼女は生体解剖を伴う動物実験に強く反対し、生体解剖の提唱者であった生理学者のクロード・ベルナール教授と、同じく生体解剖を頻繁に行っていたポール・バート博士をサイキックなパワーである「スピリチュアル雷電(spiritual thunderbolt)」で殺害したといわれている。
その後、1886年11月にパスツール研究所のルイ・パスツールを殺害することを試みたというがこれは失敗に終わった。逆にアンナの健康状態は悪化して彼女のほうが先に亡くなっている。
ルイス・バウディ
ニューヨークの裕福な実業家であったルイス・バウディに愛されて見つめられた妻たちは不可解な死を遂げていた。
バウディは1903年にバーサ・セイヤーと結婚し幸せな新婚生活を送っていたのだが、1904年2月18日に頭部に銃撃を受けて死亡しているパーサが発見された。彼女の遺書が残されており、そこには「耐えられなくなった何か」のために自殺する旨が記されていた。
ひどく落胆したバウディだったが、数年後ローズという名前の女性と再婚した。今度は幸せな生活が続くに見えた1908年12月10日、隣人は夫婦のアパートから出る強いガスの臭いに気づき、部屋に押し入ってみるとガスが充満した部屋で夫妻が倒れていたのだった。
夫妻はすぐに病院に運ばれたが、バウディは息を吹き返したものの不幸にもローズは助からなかった。その後にこの一件はローズが企てた心中事件とみなされた。
さらに1910年、バウディはルイはレオーネ・ヴァイオレット・コネリーという23歳の未亡人と結婚した。
共に暮らし始めてほどなくしたある日、レオーネが不可解な鉄道自殺を試みて周囲に止められる事件が起こった。警察の聴取に対し彼女は夫の前にいる時に突然、理由もなく自殺したいという圧倒的な衝動に襲われたと語ったのだった。
レオーネはその後すぐに、奇妙な自殺願望が再発することを恐れてバウディのもとを去った。
結婚した相手を自殺させる呪いがかかっていると確信したバウディは偽名でニューヨーク州ママロネックのホテルにチェックインし、頭を撃って自殺したのだった。
これらの女性たちはバウディと出会って恋に落ちるまでは、誰一人自殺未遂をしたこともなければ自殺願望があったこともなく、当初は全員がバウディと幸せな関係を築いていたのである。
アーサー・エバートン
1909年11月、見世物の催眠ショーで催眠術師のアーサー・エバートンが客席から名乗り出てきた男性、ジョン・シンプソンに壇上で催眠術をかけたところ、深いトランス状態から呼吸が止まり死に至った。
エバートンは過失致死罪で起訴されたが、その後の検死解剖で男性は大動脈破裂で死亡したことが判明したため、検死官は彼の死は未診断の大動脈瘤が原因である可能性があると結論づけ、エバートンの起訴が取り下げられたのだった。
ロバート・ギルバート
1938年にも催眠術に関連した奇妙な事件が起こっている。
カリフォルニア州グレンデールに住む妊娠中のマリー・コロンボス(27歳)は、出産の恐怖と痛みを和らげる目的でロバート・ギルバートという名前の催眠術師を家に呼んで催眠術をかけてもらった。
マリーは催眠術にかかったのだが、その後にピクリとも動かなくなり家人によって警察に通報され、その後にマリーの死亡が確認された。
ギルバートは逮捕されたのだが解剖の結果マリーの死因は判明せず、証拠不十分で起訴は取り下げられたのだった。
ジョージ・ケニー
米フロリダ州ノースポートの小さな町にあるノースポート高校の校長、ジョージ・ケニーは自称「心の治療家」であり、生徒たちの精神的な問題を治療するために頻繁に催眠術を使用していた無資格の催眠術師であった。彼はこの学校で数年にわたって75人の生徒に催眠術をかけたといわれている。
2011年のある日、学校生活や進路についての相談にやっていた3人の生徒たちにケニーは催眠術をかけたのだが、その後に3人のうち2人は自殺し、1人は自動車を運転中に交通事故死したのである。
自殺した2人にはそれまで自殺をほのめかしたりするようなことはなく将来に大きな夢を持っていた。事故死した1人の車に同乗していたが助かったガールフレンドは運転中の彼が「奇妙な表情をしていた」と語っている。
ケニーは無免許で催眠術を行ったことで微罪に問われたが、実刑を受けることはなく満額の退職金を受け取って退職したという。
ニーナ・クラギーナ
ロシア人女性のニーナ・クラギーナ(1926-1990)は“国家公認”の超能力者であり、物体に触れずに物体を動かしたり、浮遊させたりする彼女の“妙技”が収められたビデオは今もYouTubeなどにも多く残されている。
ニーナのサイキックパワーについて科学者のもとで何度も実験と検証が行われたのだが、1970年3月に行われた実験は超能力で生物体の身体機能に影響を与えることができるかどうかを検証する内容であった。
ニーナはカエルの心臓の鼓動を速くしたり遅くしたりすることができたといわれ、心臓の鼓動を停止させることもできたという。
さらにニーナは部屋にいる超能力に懐疑的な医師の心拍数を上げようと試み、数分以内に医師の心臓が危険なまでに速く鼓動していることが確認され実験は中止された。こうしてニーナのサイキックパワーで人間の心臓も止められることが示唆されたのである。
はたして超能力や催眠術で人の命を奪うことができるのだろうか。こうした興味深いケースから重要なヒントが得られるのかもしれない。
参考:「Mysterious Universe」ほか
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