オーブ型UFOは「球電現象」なのか? しかし説明不可能な謎も…

 空に浮かぶ光る球体は球電(きゅうでん)と呼ばれ、古来より世界各地で目撃されているが、これは自然現象なのか、それともUFOなのだろうか――。

空に浮かぶ謎の光る球体「球電」

 典型的な“UFO”は円盤型のイメージがあるが、ほかにもアダムスキー型葉巻型、最近では“チクタク型”などもよく報告されている。

 こうしたソリッドなUFOのバリエーションの一方で、球電やオーブと形容される空に浮かぶ謎の光る球体の目撃も古くから報告されている。球電はUFOなのか、それともレアな自然現象なのだろうか。

 謎の多い球電についてジャーナリストのジャズ・ショー氏がオルタナティブメディア「Mysterious Universe」に寄稿した記事で考察している。

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2013年、コロラド州ライオンズに出現した球電 画像は「Wikipedia」より

 球電と思われる最初の記録は12世紀にまでさかのぼり、1195年にカンタベリーのクライストチャーチ大聖堂修道院の修道士によって球電現象が書き残されている。また1638年にはイギリスのセントパンクラス教会で激しい雷雨の中、球状の稲妻が落ちたことが伝えられている。

 球電現象は陸上だけではなく、海上の船舶からも同様の目撃例や被害が報告されている。1726年、フロリダ沖のメキシコ湾岸に航行中の2隻の帆船(キャサリン号とメアリー号)が空からの火の玉に直撃され、マストが千切れたとの報告が記録されており、ある目撃者によれば3人が直撃を受けそのうち1人が死亡したという。

 1809年にはHMSウォーレン・ヘースティングズの公開日誌に3つの火の玉が船に衝突し、乗組員2人が死亡したことが記録に残されている。

 球電の英語表記は「Ball lightning」であり、直訳すれば「球体の稲妻」ということになり、きわめて稀なことではあるが自然現象の一種であるニュアンスを帯びている。とすれば球電はUFOなどの超常現象ではないのだろうか。

 実際に球電についての科学的検証は1940年代から行われているのだが、今のところ球電がどのように起こるのかについての正確なメカニズムは不明である。

球電は稲妻ではない?

 ルーマニア・イアス大学プラズマ物理学科の研究チームが2000年に発表した研究では、実験室での球電の再現を通じて、球電を「落雷によって生成された、適切な場所にある高温プラズマへの物質とエネルギーの突然の注入」と説明している。つまり球電はいくつかの条件がそろって起こり得る稀な自然現象であるということだ。

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画像は「Pixabay」より

 しかしショー氏によればこの“プラズマ説”では説明できない現象も数多く報告されているという。

 1999年9月29日、米ペンシルベニア州ピッツバーグで激しい雷雨の午後1時に目撃者は屋外に緑色の光の球が浮かんでいると報告している。球電は約10秒間浮かんでいて、その後爆発したという。ちなみに目撃者の家は翌朝まで停電したということだ。

 また1998年9月6日の午後10時30分、米ニューヨーク州ジョーダンで雷雨の中、家の中で赤く光る球体が3分以上空中に浮遊しているのが目撃されている。

 また球電現象を描いた古いイラストや絵画には家の中に光り輝くオーブが描かれているものも少なくない。部屋の中など至近距離で目撃される球電も珍しくないのである。

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屋内に出現した球電 画像は「Wikipedia」より

 ニューメキシコ工科大学の研究チームは数年前から専門のサイトを立ち上げて、球電の目撃情報の収集と公開を行っている。その目標は科学的なアプローチを採用し、目撃証言を報告された時間と場所からの気象データと照合し、パターンを探すことである。彼らは球電が発生する可能性が最も高い条件を特定し、球電を映像で捉える可能性を高めることを意図している。

 ショー氏は球電は稲妻ではなく、UFOによく似たものだと考えているということだが、もちろん球電はまだ正確にはわかっていないレア現象である。UFO/UAPの調査・研究に含まれるものとして、この球電現象についての理解が深まることを期待したい。

参考:「Mysterious Universe」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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