怪奇現象多発!? 731部隊の犠牲者が眠る新宿・戸山公園に行ってみた!

 記録的な猛暑となった今年の夏もお盆が過ぎ、日ごとに秋の気配が増してきた8月末日。TOCANA編集長から「心霊スポットに行ってきてくれないか?」という唐突な依頼を受けて、”新宿最大のミステリーゾーン”と呼ばれる戸山公園を散策してみることにした。

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 東京都新宿区にある戸山公園は1954年に開園した都立公園。おおよそ18haにもおよぶ広大な敷地は明治通りを挟んで、箱根山地区と大久保地区の大きく2つに分かれている。

 どちらも周辺は住宅街に囲まれており、大久保地区は新宿スポーツセンターや多数の広場が点在しているため、近隣住民の憩いの場として機能している。

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戸山公園・大久保地区

 都心部に位置する緑豊かな公園であり、親子連れやスポーツを楽しむ老若男女から上半身裸で日光浴に勤しむ人の姿まで。広々とした公園内でそれぞれが自由に過ごしており、和やかな景色が広がっている。

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これでもか!というほど「立入禁止」の張り紙が貼られた噴水跡地。ある意味で不穏な空気を放っているが、日が暮れたころに同じ場所を通るとたくさんの人々が縁に腰掛けて世間話に興じていた。(大久保地区)

夜中に男性の泣き叫ぶ声やうめき声が聞こる? 箱根山地区とは

 一方の箱根山地区は、大久保地区に比べて勾配があるため、公園というよりも森の中にいるような荘厳な雰囲気が漂うエリアだ。近隣住民のジョギングコースなどに利用されているが、木々で視界が遮られているせいもあるのだろう、男性の泣き叫ぶ声やうめき声が聞こえたり、人魂を目撃したといった心霊現象の報告が後を絶たない。

 今年の5月には『パシフィック・リム』や『シェイプ・オブ・ウォーター』などを手掛けたギレルモ・デル・トロ監督が深夜に訪れていたようで、自ら公園内のベンチに腰掛けている様子を正面からとらえた映像をX(旧Twitter)に投稿したことで話題に。

 投稿された動画には「Late night Ghost Hunting in Toyama Park-nothing happened. (深夜に戸山公園で幽霊探し!何も起こらなかった)」という文章が添えられていたのだが…。なんと、画面上部を不自然な物体が横切る様子がはっきりと映り込んでいたのだ。現在はすでに削除されているものの筆者も投稿時に動画をチェックした際、その不審な動きをする何かを確認している。

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 しかし、ちょうどそのベンチのある場所は背面が絶壁になっており、その上に遊歩道が設置されているため、偶然通りかかった人物の足元が映り込んだものと考えるほうが現実的かもしれない。真夜中に人が徘徊している公園というのもなかなかだが…。

 ここで誤解を避けるため、筆者自身、10年近く近辺に住んでおり、本稿を執筆するにあたって周辺住人及び住環境を脅かす意図はないことを最初に明記しておきたい。

 ただ、やたらと不思議な空気を放つ場所であることも事実である。歌舞伎町まで徒歩圏内の立地にあるにもかかわらず、自然溢れるのんびりとした公園で、都心部に暮らす我々にとって癒しになることは違いないのだが、なんとなく足を運ぶ気になれず、公園内を見てまわったのは過去にたった一度、それも一時間ほども滞在しなかったと記憶している。

 そこで今回改めて、実際に戸山公園を散策して、その結果をレポートとして皆さまにお届けしたいと思うに至った次第である。

江戸時代から続く戸山公園の歴史を紐解く

 江戸時代、この一帯には徳川御三家のうち尾張家の下屋敷があり、回遊式の築山林泉庭園・戸山山荘として有数の大名庭園だったという。山手線内最高峰でありながら、わずか44.6Mほどの箱根山はこのころに池を発掘した際の残土を利用して作られた築山で、かつては玉円峰と呼ばれていたそう。

 尾張家二代藩主・徳川光友亡き後、一時は荒廃の一途を辿ったものの、1970年に徳川家十一代将軍・家斉の来遊をきっかけに再興、家斉は「すべて天下の園地は、まさにこの荘を以て第一とすべし」と絶賛したとのこと。当時の繁栄ぶりがうかがえるエピソードである。

 明治維新を機に明治政府に明け渡されると、軍用地として利用されるようになり、陸軍戸山学校をはじめとする関連施設が次々と設置され、1945年に終戦を迎えるまで約70年間にわたって軍の研究や教育の拠点とされていた。

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左が1927〜1937年、右が現在の地図(「今昔マップ on the web」より引用)

 近隣で育った筆者の夫いわく、子どものころはまだ敷地内に薬莢が埋まっていると言われていたため、薬莢探しと称しては土を掘り返して遊んで、たびたび管理人に注意を受けていたという。

 当時から人骨が埋まっているという噂が地元住民の間ではまことしやかに語られていたようだが、1989年に陸軍軍医学校跡地に位置する国立感染症研究所(旧国立予防衛生研究所)を建設するにあたって掘削作業が行われた際、死後100年以内とみられる身元不明の人骨が大量に発見されたのだ。

 戦時中、陸軍には731部隊(関東軍軍防疫給水部本部)と呼ばれる研究機関が存在したと言われており、この部隊を率いた石井四郎中将らの属した防疫研究室(日本陸軍防疫研究所)が同地に設置されていたため、人体実験の結果、隠蔽された人骨ではないかと疑われて現在に至る。

軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会』によると、人骨発見当初、専門家や市民の声に応じる形で新宿区も真相究明を約束したものの、鑑定人の選考・打診に難航。1991年にようやく札幌学院大学教授・佐倉朔氏に鑑定を委託し、それから約半年後に一般公表された「佐倉鑑定」の要約は以下の通りだ。

1. 土中経過年数は約10年から100年以下
2. 個体数は100体以上(頭蓋骨だけで62体)
3. 性別は男性:女性=3:1、大部分が成人であるが、少なくとも一体の未成年を含む
4. モンゴロイド系の複数の人種が混在(一体だけモンゴロイドではないと思われるもの在り)
5. 複数の頭蓋骨にドリルによる穿孔、鋸断、破切などの人為的加工の痕跡(そのうちには脳外科手術の開頭術中耳炎の根治手術に類似するものも)
6. 切創、刺創、銃創の痕跡。また四肢骨の鋸断したものあり
7. 一部にフォルマリン等で固定されたもの、晒し骨の乾燥標本と思われるものもあった
(『軍医学校跡地で発見された人骨問題を究明する会』より引用)

 しかし、人骨が発見された国立感染症研究所は戸山公園の敷地外にあたり、実際に公園内で人骨が発見されたわけではない。発見された人骨は現在、同施設内にある納骨堂に納められている。

実際に箱根山地区を歩いてみた 途中で予想外のトラブルが……

 まずは戦争遺跡・戸山ヶ原に佇む日本基督教団戸山教会から。この教会は陸軍戸山学校将校集会所跡でもあり、1950年に将校集会所として使用されていた建物を再利用する形で、上部にプロテスタント系の教会が建立された。

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日本基督教団戸山教会

 異質すぎる組み合わせがいかにも怪しげな雰囲気を漂わせている…。そのうえ、まだ日が完全に沈みきっていない時間であるにもかかわらず、周辺に人の姿はなく、「ポツリ…ポツリ…」と木の実が落ちるような音や鳥の鳴き声が響くのみ。一刻も早くこの場を立ち去りたい衝動に駆られ、建物に近づくことはおろか、この写真を撮影するので精一杯だった。

 続いて、深夜に人の声が聞こえると噂の箱根山へ。実はハッテン場としても有名な場所らしく、前述した「深夜に男性の泣き叫ぶ声やうめき声が…」という話は、心霊現象などではなく、生きた人間によるものなのだろうな…と、正直拍子抜けしてしまった。

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箱根山登頂へと続く階段

 なかばガッカリした気分で記念に登頂から写真を一枚撮影したところ、予想外の出来事が起きた。バッテリーが十分に残っているにもかかわらず、シャッターを切った直後に本体の電源が落ちてしまったのだ。

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この写真を撮影した途端、突然電源が落ちてまった。「これ以上撮影するな」という幽霊からの警告だろうか?

 さすがに嫌な予感がして無心で階段を駆け下りていると、不自然な一定の動きを繰り返す人影のようなものが目に入った。「終わった…」と覚悟を決めつつ、階段を下りきらないことには逃げることもできないので、影に向かって近づいていくと……。

 ただの運動をしているおじいちゃんだった。肩を動かすために一所懸命腕を前後に振る姿が、この世の者ならざる異形の何かに見えてしまっただけだったのだ。ところが安堵したのも束の間、なんと今度は地面の一部がグラっと歪み始めるではないか!

 先ほどすれ違ったばかりのおじいちゃんも驚いたであろう大声で「ぎゃああ!」と叫んでしまったのだが、よく見ると大きなヒキガエルが飛び跳ねているだけだった…。もう本当に勘弁してほしい。心霊的な怖さではまったくないのだが、すっかり疲れきってしまったため、敷地外を目指して歩く。

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中央に写るのが筆者を驚かせたヒキガエル(悔しいので撮影しておいた)。恐るべし保護色…!

夜間に利用する近隣住民の姿を見間違えている可能性大!

 首吊り自殺した男性の霊が現れると噂される公衆トイレにも立ち寄ってみた。

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 この公衆トイレは道路沿いにあるため、タクシーの休憩場所としてもよく利用されている。箱根山のある中心部に比べれば人通りも多く、特に心霊スポットと呼ばれるような要素は見当たらない。そもそも筆者には、公衆トイレといえば自殺の名所という偏見があるため、霊の目撃情報があってもなくてもすべての公衆トイレが怖い。

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比較的整備されているが、鏡はもはや本来の役割をはたしていない

 散策してみた感想としては、箱根山地区は閑静な住宅街に位置するため、近隣住民などが夜間に利用している可能性が大いにあり、心霊現象については単なる見間違いがほとんではないだろうか?ということ。

 人魂のような物体が多数目撃されているようだが、利用者の携帯のライトが反射している場合もあるだろう。実際に筆者も奇妙なオブジェを見つけて、恐る恐る近づいてみたところ、ベンチの上で寝転がりながら携帯をいじっている男性だった。 

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幽霊の目撃情報が多数報告されている野外演奏場跡地

おまけ

 ついでに戸山公園付近のいわくつきスポットもご紹介したい。

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元大蔵省・若松住宅

 元大蔵省の寮というだけあって駐車場つきの広大な敷地に建っているのだが、長年取り壊されることもなく、現在も規制線が張られたまま野ざらしになっている。近隣の施設の入り口から鳴り響く「ピンポーン…」という無機質な音も相まって、かなり雰囲気のある場所だ。

 10年以上も放置されている理由として、かつて人骨が大量に発掘された場所に建てられているため、解体作業を進めることができずにいると言われている。

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現在は病院長名義の注意書きが病院の敷地であることを証明するのみ

 こちらはだいぶ大久保側になるのだが、JCHO東京山手メディカルセンター内。数ヶ月前まで、右手に病院の敷地であることを表明する看板がかけられていたのだが最近取り外された。

 病棟を建設する予定であったが、やはり建設中に大量の人骨が発見されたため、そのまま手つかずになってしまったと噂されている。オレンジの街灯がなんとも言えぬ不気味さを演出しているが、奥には看護師寮が設置されているようだ。

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 今後、こういった空き地はどのような形で利用されるのか、やはり何らかの不思議な現象が起こる場所として人々のあいだに語り伝えられていくのだろうか? 心霊スポットはどのような過程を経て、心霊スポットと呼ばれるようになるのか。身近な空き地を調べてみると、意外な歴史が見えてくるかもしれない。

文=浅香麻亜弥(トカナ編集部)

1993年生まれ、東洋大学インド哲学科卒。不思議なこととお酒と猫が好き。アンダーグラウンド・カルチャーにまみれながら、日々修行中。 TOCANA|UFO、心霊、予言など未知の世界の情報を発信、好奇心と知的欲求を刺激するメディア
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