史上最強サイキック、ヴォルフ・メッシングとは?ヒトラーが怯え、スタリーンが感服… 予知・透視・テレパシーの驚愕実話集!

 ナチス総統・ヒトラーを怖がらせ、ソビエト連邦の二代目最高指導者・スターリンを感服させたサイキック(超能力者)がかつて実在した。その名もヴォルフ・メッシングである。

■サイキック少年、ヴォルフ・メッシング

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ヴォルフ・メッシング 画像は「Wikipedia」より引用

 ヴォルフ・メッシングは1899年に現在のポーランドのワルシャワから約15マイル離れた小さな村、グラ・カルバリアの貧しいユダヤ人家庭に生まれた。彼は幼い頃からかなり特殊な能力を持った少年であり、未来を予測したり、透視、テレパシー、そして人々が目にするものに対する認識を変えるなどの特別なサイキック能力を持っているといわれていた。

 10代の頃、彼はこれらの能力で村でかなり有名になり、小遣い稼ぎにデモンストレーションを行い、隠されたアイテムを見つけたり、人々の心を読んだり、人々の心に考えを植えつけたりするなど、あらゆる種類の“隠し芸”を披露していた。彼はこれには異常なことは何もないと主張し、人体の微妙な変化を感知するなどして、誰もが習得できるプロセスを通じてこれらすべての“隠し芸”を行うことができると説明した。

「それは心を読むことではなく、“筋肉を読むこと”のようなものです。人間が何かについて真剣に考えるとき、脳細胞は体のすべての筋肉にインパルスを送信します。目に見えない彼らの動きを、私は簡単に察知することができます。多くの場合、私は相手に直接接触せずに精神的なタスクを実行しています。ここでの私が指標としているものは相手の呼吸、心臓の鼓動、声の音色、歩き方などです。未来を見る私の能力は、世界の唯物論的理解と矛盾しているように見えるかもしれません。しかし予知について、そこには未知の要素や超自然的な要素はありません」(ヴォルフ・メッシング)

 敬虔なユダヤ教徒であったメッシングの両親は、彼を強制的に神学校へ行かせようとしたのだが、それを嫌ったメッシングはある日、決意して家出をした。

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 しかし貧乏な家で育った彼は旅費など持っているはずはなかった。そこで仕方なく“隠し芸”であるサイキック能力を使うことにしたのである。ドイツ・ベルリン行きの列車で無賃乗車が発覚すると、メッシングはサイキック能力を使って車掌に新聞の切れっぱしを乗車券だと信じ込ませることに成功したのだ。

 ベルリンに着いたメッシングは糊口をしのぐために靴磨きや皿洗いなどの仕事をしながら、時間をみつけてサイキック能力に磨きをかけた。

 こうしてブラッシュアップされたサイキック能力のおかげでメッシングは、サーカス団に見込まれてサイキックショーをする仕事を得た。

 瞬く間にメッシングは評判になり、ショーのチケットは販売されるやすぐに売り切れになったという。ある日のショーには精神分析学の父ジークムント・フロイトと、現代物理学の父アルベルト・アインシュタインという2人の偉大な科学者が見物にやってきたというが、この2人をもってしてもメッシングのパフォーマンスはまったく不可解であった。こうしてメッシングは一種の“マジシャン”として名声を勝ち得ていったのだ。

■“予言”でヒトラーを激怒させる

 ヒトラーが1933年に権力を握り、第二次世界大戦の足音が聞こえはじめると、ユダヤ人であるメッシングは身の危険を感じることになる。そしていったんメッシングはポーランドに戻ることにしたのだった。

 予知能力もあるメッシングは、この時期に激動の時代の先行きについていくつか“予言”をしている。その中に「ヒトラーが東に向かえば彼は身を滅ぼす」という発言もあった。つまり、ドイツ軍のモスクワ侵攻作戦は失敗に終わるというのだ。そして確かにこの“予言”は的中している。

 有名人の発言だけに、これはすぐにドイツにも伝わり、激怒したヒトラーはメッシングの首に懸賞金をかけたといわれている。

 そして1939年にナチスによってポーランド・ワルシャウが爆撃されると、メッシングの身はさらに危険になった。運が悪いことにメッシングはゲシュタポ(ドイツの秘密警察)に捕らえられ、尋問のために収容所へと送られたのだ。

 しかしここでもメッシングはサイキック能力で危機を脱することになる。収容所の職員をマインドコントロールで操って自分の代わりに牢獄に入らせ、脱出することに成功したのだ。

Ichigo121212によるPixabayからの画像

■スターリンからの“お題”をすべてクリア

 ロシアに逃れたメッシングは周囲の要望もあって再びサイキックショーを始め、数々の“隠し芸”で観客を驚かせた。

 当時のソ連の最高指導者、ヨシフ・スターリンはメッシングに警戒しつつも興味を持ち、彼のサイキック能力を試すために“お題”を与えたのだった。

 “お題”の1つは、何も書かれていない白紙を持って銀行に行き10万ルーブルを引き出せというものだった。メッシングは銀行の出納係をマインドコントロールし、白紙を正式な書類であると信じ込ませ、見事に10万ルーブルを引き出すことに成功した。

 次の“お題”は、厳重に警備されているスターリンの部屋に手ぶらでやって来いというものだった。この“お題”にメッシングは周囲の警備員に自分が秘密警察長官に見えるようにマインドコントロールし、誰からも制止されることなくスターリンの部屋までたどり着いたのである。

 “お題”を見事にクリアしたメッシングはスターリンにいたく気に入られて何度かクレムリンを訪れたという。そこでメッシングは第二次世界大戦の開始時期について“予言”したといわれている。またスターリンの死の時期(1953年)も予測していたということだ。

 こうしてメッシングは単なるマジシャンの域を越えた“レジェンド”になったのだが、そのサイキック能力は自分の病には効果を発揮せず、1974年に腎臓と肺の病気によって他界した。

 メッシングのサイキック能力は本人が語るように何ら神秘的なものではなかったのかどうか、今は知る術はない。そして彼についての“伝説”についてもすべてが事実であったのかを検証するのも今となっては困難だ。しかしスターリンの側近であった稀代のサイキックとしてヴォルフ・メッシングの名が忘れ去られることはないだろう。

参考:「Mysterious Universe」、ほか

 

※当記事は2020年の記事を再編集して掲載しています。

文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
ツイッター @nakata66shinji

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