「ラプンツェル症候群」の9歳少女、髪の毛を食べてお腹がいっぱい…緊急手術へ

画像は「Pixabay」より

 自分の髪の毛を抜かずにはいられない、そして抜いた毛を食べずにはいられない――。このきわめてレアな症状である「ラプンツェル症候群」の少女が病院に運ばれ、救急手術で胃からソフトボール大の毛玉が摘出された。

■「ラプンツェル症候群」で9歳の少女が緊急手術

 英イングランド・ノーフォーク州レンウェイドに住む家族の娘、ソフィア・ゴスちゃん(9歳)は生後18カ月から髪の毛を抜いて食べていた。この症状は「ラプンツェル症候群」という実に稀な症例である。

 どうやら眠る前の入眠儀式のようで半ば無意識に自分の頭髪を抜いて口に運んでいるようであった。そのため両親も娘の“悪癖”に気づき難かったようである。

 ある時、ソフィアの体調が悪化し、大きな毛玉を吐いてから両親は危機感を抱かざるを得なかった。

 かかりつけ医や保健師は実際には何のアドバイスもしてくれず、解決策を必死に探していた母親のメーガンさんはインターネットに頼った。

 どうやら髪にオリーブオイルを塗ると髪を抜かなくなるという解決策があるようで、さっそく母親は就寝前の娘の頭髪にオリーブオイルを塗ると功を奏し、ソフィアは髪の毛を食べるのをやめ、薄くなっていた髪の毛は再び生えはじめた。

 しかし悲劇は終わっていなかった。2023年12月12日、ソフィアは極度の苦痛で目を覚まし、嘔吐した直後に気絶したのだ。

画像は「Daily Star」より

 救急車によって病院に運ばれたソフィアは4時間に及ぶ手術を受け、胃の内部から胃と同じくらいの大きさの毛玉が摘出されたのだ。毛玉は胃壁の一部を突き破っており深刻な状態にあったという。両親が気づかないところでソフィアは髪の毛を食べ続けていたのである。

 その後もソフィアは集中治療室での10日間の入院を余儀なくされたが、その後は順調に回復している。

 ディズニーキャラクターでもありグリム童話に登場する長く美しいブロンドヘアの少女、ラプンツェルにちなんで名づけられたラプンツェル症候群は、食べた髪の毛が胃の中で絡まって毛玉が形成され、その長く延びた毛先は小腸にまで達するという。主な症状には、腹部の不快感、吐き気や嘔吐、腹部の膨張、食欲減退、体重減少、便秘や下痢などがあるが、ソフィアのように緊急手術が必要になるケースもあり、最悪の場合は敗血症で死亡するリスクもあるということだ。

 世の親たちは幼い我が子が頭髪をむしって口に運んでいないかどうか気に留めておく必要があり、もしもラプンツェル症候群が疑われるようであればすぐに医師の診察を受けるべきなのだろう。

参考:「Daily Star」ほか

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文=仲田しんじ

場末の酒場の片隅を好む都会の孤独な思索者でフリーライター。
興味本位で考察と執筆の範囲を拡大中。
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