「笑い死に」は現実に起こるのか? 知っておきたい笑いのリスク

「笑い死に」は現実に起こるのか? 知っておきたい笑いのリスクの画像1
イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI)

「笑う門には福来たる」ということわざがあるように、笑うことは気分を高め、抑うつや不安、ストレスを軽減するなど、多くの健康効果があることが研究で示されている。友達の面白いジョークに、面白い動画に、私たちは何の気なしに笑い声をあげる。

 しかし、時にその「笑い」が危険な事態を引き起こす可能性もあるとしたら…? まれではあるものの、笑いすぎることが体に悪影響を及ぼし、場合によっては死に至る可能性もゼロではないというのだ。

 専門家によれば、笑うこと自体が直接的な死因になるわけではない。しかし、笑いが引き金となって、心停止や喘息発作といった深刻な健康問題が発生し、命に関わるケースがあり得るという。

 もちろん、大好きな芸人を見て笑うことが、すぐに命取りになるわけではない。しかし、知っておいて損はない、「笑い死に」に繋がる可能性のある、いくつかの稀なケースを紹介しよう。

1.意識を失う「笑いすぎの失神」

 笑いによって起こる最も一般的な身体反応のひとつが「失神」である。これは、胸腔(胸の内部)の動きによって迷走神経が刺激され、血圧が低下し、一時的に脳への血流が減少することで意識を失うという現象だ。

 失神そのものは一過性で、多くの場合は数十秒で意識が戻るため致命的ではない。だが、もしその場で倒れ、頭を強打した場合などには、深刻な事故につながる恐れがある。つまり、「笑いすぎて転倒し、頭を打つ」という二重の偶然が重なると笑いが命を奪う可能性もあるのだ。

2.笑いが引き起こす喘息発作と呼吸困難

 笑いによって胸が大きく動くことで、喘息持ちの人にとっては呼吸器系に大きな負担がかかる。激しい笑いが原因で気道が狭まって酸素が足りなくなり、喘息発作が誘発されることもある。

 通常は発作が落ち着けば回復するが、長時間にわたって呼吸困難が続くと命に関わる事態になる。特に重度の喘息患者は注意が必要だ。

急激な笑いが心臓を止めることも

 笑いによってアドレナリンが急上昇すると、心臓に過度な負担がかかる。稀にではあるが、心停止が起こるケースもある。過去には心拍リズムに異常を抱えた女性が、笑いによって発作を起こし命を落とした事例も報告されている。

 また、アンジェルマン症候群という遺伝性疾患を持つ人は、笑いによって心臓が完全に停止する「心静止」に至ることがあるとされている。

謎の「笑い発作」――ジェラスティック発作とは

「ジェラスティック発作」という非常に稀な神経疾患も存在する。これは外的刺激とは無関係に突発的な笑いが発生する発作で、脳の視床下部にある腫瘍が原因となることが多い。

 ほとんどの場合は良性だが、悪性であれば命に関わる可能性もある。笑いという一見無害な反応の裏に深刻な脳疾患が潜んでいることもあるのだ。

「笑い死に」は現実に起こるのか? 知っておきたい笑いのリスクの画像2
イメージ画像 generated using QWEN CHAT

笑いはストレス軽減、免疫力向上、幸福感の促進など、数々の健康効果をもたらす。だが、どんなに身体に良いことでも、過剰になれば毒となる。笑い死にが現実に起こり得るという事実は、笑いが単なる娯楽にとどまらず、身体全体を巻き込む強い生理反応であることを物語っている。

 笑いのある生活は確かに素晴らしい。だが、激しい笑いが引き金になる可能性がある疾患を抱えている場合は、自分の体調をしっかり理解し、必要なら医師に相談することも大切である。とはいえ、日常生活で笑うことを恐れる必要はない。「笑い死に」は、あくまで例外的なケースなのだから。

参考:Popular Mechanics、ほか

関連キーワード:, ,

文=深森慎太郎

人体の神秘や宇宙の謎が好きなライター。未知の領域に踏み込むことで、日常の枠を超えた視点を提供することを目指す。

深森慎太郎の記事一覧はこちら

※ 本記事の内容を無断で転載・動画化し、YouTubeやブログなどにアップロードすることを固く禁じます。

人気連載

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

“包帯だらけで笑いながら走り回るピエロ”を目撃した結果…【うえまつそうの連載:島流し奇譚】

現役の体育教師にしてありがながら、ベーシスト、そして怪談師の一面もあわせもつ、う...

2024.10.02 20:00心霊

「笑い死に」は現実に起こるのか? 知っておきたい笑いのリスクのページです。などの最新ニュースは好奇心を刺激するオカルトニュースメディア、TOCANAで